授業の「追試」についての基礎知識(教師必見!)



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今日は「追試」につい書いてみます。
この件についてちゃんと研究したわけではないので、以下はぼくなりの理解だと思ってください。
戦前の教師は師範学校で育てられました。ですから当時は教師の基礎基本が徹底的に鍛えられた人だけが教師になれました。従って一定の水準が保たれていましたから、授業や指導の質は人格とか人間性の問題とされていました。偉い教師は立派な教育をするなあ・・・というように。
それが戦後は師範学校が禁止になり、一般の大学を出たほうが民主的な教師になれるという話になりました。それで教師の質がいい加減になりました。そのうえ立派な人物がしくじったりいい加減な教師がいい結果を出すなんてこともあり、ひいては箸にも棒にもかからないダメ教師も出てくるようになりました。
やっぱり教育にはプロの「技術」があって、師範学校ではそういうことをとことん叩き込まれていたのかなあという反省も出てきました。
「技術」であれば盗むことも学ぶこともできます。人格がそれほどでないぼくのような人間にも一定のレベルの仕事が可能になります。
授業研究で「技術」を学べば教師は成長できるということを最初に言ったのが斎藤喜博でした。言っただけでなく自分が校長になった小学校でやってみせました。昭和30年代でしょうか。
しかし、斎藤はたくさんの著書に彼の合唱指導や彼が育てた学校や教師の素晴らしさを書きましたが、どうやったらそうなったのかという「技術」の部分をほとんど書き残しませんでした。なので本を読んで感動した教師が、斎藤喜博の授業を再現して斎藤と同様の教育の結果を出すことはできませんでした。

これを斎藤が隠したという人がいますがそうではないと思います。彼は「技術」をそこにいなかった教師にどう伝えるか?という発想が乏しかったのです。名人は凡人のわからないことがわからないのですね。

斎藤の思想を受け継いだ研究者が板倉清宣です。彼は現場の教師ではありませんでしたが「良い授業を誰でもできるようにするにはどうすればいいか?」と考え、授業書方式を編み出しました。
板倉の名著『未来の科学教育』にぼくも感動した一人でした。ばねの実験で力学の基礎を教える授業書が出てきます。問題と実験をプリントに書いてある順番でやっていけば、どの子も目標とされる理解に到達できるように設計されていました。
問題1で仮説を立てる→実験1でAを理解する→問題2で仮説を立てる(Aを一般化しすぎる仮説になる)→実験2で実験1では近い出来ない結果になりA+Bうを理解する→・・・というふうにスリリングな思考のドラマが展開されながら、らせん状に力学法則の理解が進んでいくのです。数学も理科も苦手なぼくにはどんぴしゃりの見事な構成でした。
板倉は仮設実験授業研究会を組織し、メンバーにその授業書を渡して仮設実験授業は広がっていきました。内容も理科教育から国語・道徳・社会・算数など応用され現在も機関紙『楽しい授業』は出版されています。
板倉の発想と授業書は画期的でしたが授業書のプリントが大量なものになり、カリキュラムも本物を追求するためにどうしてもオリジナルなものになったので、一般の教師には敷居が高く大衆的なものになりませんでした。
板倉清宣の「すべての教師が優れた授業ができるようにしたい」という願いを受け継ぎ、発展させたのが向山洋一でした。1980年ぐらいでした。彼が明治図書の名物編集者とタッグを組んで立ち上げた教育技術の法則化運動は爆発的に広がりました。運動を組織する能力・やる気のある教師の情熱を引き出す能力なども際立っていて当時教師になったばかりのぼくも目を見張って学びました。現在もTOSSという大きな授業研究組織が全国展開していきます。

(ちょっと疲れたので今日はここまで)

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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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