米国大統領選挙をめぐる極私的な備忘録



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ちょっと変なことが起きているなあと気になって落ち着かないので記録しておきます。あんまり意味はないと思いますが備忘録です。
 
4年前ぼくは米国大統領選挙にそんなに関心がなかった。フェイスブックの周囲の様子もそうだったからそれは普通のことだったと思います。メディアの言うとおりヒラリーが勝つのかなあと思っていました。話題にもならなかったと思います。
 
多くの保守派の知識人もそうでした。たしか櫻井さんも「ルビオになるならヒラリーの方がまだまし」のようなことを言っていたと思います。その他大勢も大同小異でした。それでも江崎さんや渡瀬さんの見方(トランプが勝つかもしれないよ)くらいは入ってきていてそういう見方もあるんだなあとは思っていました。
 
そうしたら大逆転でトランプが勝った。情報弱者(英語が読めない)のぼくはその時点でもまだトランプって誰?って感じでした。それから渡瀬さんや江崎さんの本や発言に注目して少し追いかけ、アメリカの政治思想や大統領選のことについても少し知るようになりました。4年前はアメリカの保守思想やリベラルについてもほんとうに無知でした。リバタリアンの思想もこのときはじめて知りました。
 
相変わらずトランプはメディア(米も日も)の評判が悪く、英語ができる人にはトランプのTwitterはちょっと品がないなあと眉をひそめるところがあったようです。いまは違いますが当座の保守は知識人の反応も似たような者だったと思います。みんなわすれちゃったようだけど。
 
ただぼくはトランプが当選できたこと自体がアメリカの民主主義の偉大さではないかと感動していました。共和党の中でも「反エスタブリッシュメント」ということで異端視されていたからです。国民の投票が政治を決められるという事実を目の当たりにして感動したのだと思います。
 
ぼくは基本は共和党びいきなのでだんだんトランプってけっこうやるなあという認識になっていきました。安倍さん二もチャンスだから自主防衛の意志を示してほしいなんて思っていました。
4年間のトランプの仕事はこれも渡瀬さん経由ですが合格点だったと思えます。減税や規制緩和(一つ法律つくりたければ廃止する法律を二つもってこい)や中国共産党と戦う意志を明確にしたこと、また戦争をやらなかった大統領という意味でもめずらしいのではないでしょうか?
 
1年前くらいから「トランプの再選は難しいかもしれない」と渡瀬さんが言い始めました。いろいろな理由がありますがトランプの共和党内の立ち位置が怪しくなってきたことがあるようです。もちろん民主党ががんばったのも事実です。この情報があったので選挙結果にはあまり驚きませんでした。ただ民主党大統領で日本はますます厳しくなるなあと思い暗い気持ちになりました。いまや上院も下院も民主党になり、トリプルブルーの危機がやってきていますね。
 
SNSではいろいろなニュースが流れていて、選挙に不正があったという情報もあり、トランプもこれを追及して戦う意志を明確にしていました。しかし実際は難しいだろうなとこれも渡瀬情報から思っていました。
 
それで1月6日が来ました。ぼくはペンスも引いたし、共和党の議員たちも引いて、トランプもここで引いておけば今後の影響力も担保できたのではと思っています。しかし彼は「議事堂へ行け!」と演説しました。それがバイデンの当選決定への圧力になると考えたのかもしれません。あるいはもっと軽い気持ちだったのかもしれません。しかし一部の過激派はチャンスだとばかり議事堂に侵入し占拠しました。議事堂にそんなに簡単に入れるのは変ですし、これはアンティファだという情報もありますが、たとえそうだったとしてもはめられたトランプの負けだと思います。20日までにさらにボコボコにされるかもしれません。
 
それで気になるのは、この4年間の知識人や言論人の変わりようでした。ついさっきも信頼していた茂木さんが最後の手段は軍事行動か?みたいなことをほのめかしていてびっくりしています。頭のいい人たちがみなどうなってしまったんでしょうか?Twitterにも怪情報があふれています。
 
ことここに至っては、建前でもアメリカの民主制に正統性を与えておくことが何よりも重要だと考えています。最大の敵は、中国共産党独裁国家の覇権主義だからです。そして日本の自立を目指すという究極の目標のためにもそれが重要です。
 
さて最後にいちばん気がかりなことを書きます。
それは日本の知識人や保守派の友人たちの一部に、トランプをアメリカ革命のリーダーまたは世界を解放するリーダーとして崇拝する動きが生まれていることです。ディープステートと戦う救世主のようにトランプをとらえてインターナショナルに連帯し始めているようです。これは日本だけでなく、米国のトランプ支持者や欧州のナショナリズムの中にも同様の動きが見られます。米国民ではない人たちもトランプ支持の政治活動を始めているのはそのためであるようです。
 
ぼくはこの流れは奇妙だと考えます。なぜなら彼等はナショナリストであり保守主義のはずだからです。なぜナショナリストがインターナショナルに戦うのでしょうか?それは共通の敵が国際金融資本のディープステートだからということらしいのです。世界情勢のこのとらえ方と戦い方は、世界革命を目指したトロッキストと似ています。実に奇妙です。

そして先ほど見たTwitterでは、ついに「トランプと習近平とプーチンはディープステイトという共通の敵と戦っている真のナショナリストだ」とさえ言い始めています。なんだか頭がおかしくなります。

ぼくは当面の敵は中国共産党やプーチン政権だと考えてきました。いままで友人だと思っていた方々が習近平もプーチンも仲間だ。真の敵はディープステイトだと言い始めました。あの茂木さんでさえそうです。ちょっと待ってくれよ。というのが正直な気持ちです。

 
どんなにへこたれても資本主義と自由主義を守ること。これがぼくの橋頭堡です。そのためには立憲民主主義、アメリカの民主制を維持することが大事だと考えています。
 
 
 
以上、このところぼんやり思ってきたことを書きました。間違っているかもしれませんがこれがいまのぼくの考えです。ただ、ぼくの持ち場は「日本が好きになる!歴史授業』の普及という天下国家論からは遠い小さなフィールドです。だからみなさんと議論する余裕も能力もありません。ご容赦ください。
 
それぞれがいま信じることをぼくは尊重します。だから、ぼくの立場も尊重してください。どうぞよろしく御願いします。

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【参考資料】

 

◆◆救国シンクタンクメールマガジン 21/1/10◆◆

評論家の江崎道朗です。

「なぜ民間シンクタンクが重要なのか」という観点から毎回、政治的課題について書いていこうと思います。今回は、「米国の連邦議会議事堂侵入事件をいかに分析するか」です。

16日、バイデン米次期大統領の当選を正式に認定する手続きが行われていた連邦議会議事堂内にトランプ大統領の支持者と思われる人たちが乱入し、上院本会議場を一時占拠しました。これに先立ち、トランプ氏はホワイトハウス前での大規模集会で演説し、大統領選に不正があったと主張して議事堂への行進を呼びかけたことから、トランプ大統領の責任を問う声が上がっています。

この「連邦議会議事堂侵入事件」について、インテリジェンスと国家安全保障研究の専門家であるジョセフ・フィタナキス(JOSEPH
FITSANAKIS
)コースタル・カロライナ大学准教授が17日、自ら運営するインテル・ニュースというサイトにおいて、「米国の議会議事堂侵入は反乱の長期化の始まりを告げる(US Capitol attack marks the beginning of a prolonged period of
insurrection
)」と題する分析レポートを書いています。原文:https://intelnews.org/2021/01/07/01-2933/#more-19106

今回の事件を冷静に分析していて重要だと思いましたので、今回、その要点を紹介したいと思います。

フィタナキス准教授はまず、こう指摘しています。

・米国議会議事堂への過激派による侵入は、クーデターの一部であったが、アメリカの政治システムは当分の間、安全と考えられるべきだ。なぜなら議事堂に侵入した暴徒たちは無秩序で指導者がおらず、協調性がないように見えたし、明確な方針もないように見えたからだ。

・しかし、今回の侵入事件に代表される広範な過激派の運動は急速に進化している。この運動が制御されずに放置された場合、その弱点を強みに変えることができ、既に嵐の多いアメリカの政治にさらなるトラブルを引き起こすことになるだろう。

・よって国家の法執行機関と治安機関は、広範囲な抗議活動に備えなければならない。その抗議活動は全国各地で起こる可能性が高く、今後数ヵ月続く可能性がある。

こうした情勢認識のもと、今回の事件は「誰が起こしたのか」という点について、こう指摘しています。

・水曜日の侵入は、トランプ運動の過激派勢力と思われる人々によって行われた。しかしこの勢力は、厳密には、トランプ大統領の幅広い政治的基盤を代表するものではない。

・今回の侵入事件を起こした勢力は、トランプ大統領の再選を支持するため、極端な行動を取ろうとした前衛的な活動家たちである。そしてこの勢力は、トランプ氏を支持する有権者を代表しているわけではない。ただしこの勢力は、トランプ氏を支持する支持層から崇拝されていて、支持層の大半は、今回の議会議事堂侵入を支持しているように見える。実際、世論調査では、共和党の有権者の40%以上が米国議会議事堂への侵入を強く、またはやや支持している。

・今回、事件を起こした勢力は、プラウド・ボーイズを始めとする過激派組織に属していると思われる。しかし、これらのグループが今回の事件を指揮していなかったのは確かだ。というのも今回の事件について画像分析をしたところ、乱入した人たちの大半は場当たり的に行動しており、お互いの名前すら知らなかった。今回の侵入を指示した指導者はいなかった。

では、今回の「侵入はどのように準備されていたのか?」について、こう分析しています。

・事件を引き起こした人たちの多くは、化学刺激剤、ナイフ、その他の武器をもっていた。少なくとも1つのグループがロープを持って議事堂に侵入し、議事堂の壁を登るのにそのロープを使用した。よって幾つかのグループが侵入のための事前準備をしていたことが分かる。

・しかし彼らは議事堂の中に入ったあと、何をするかを話し合っていなかったことは明らかだ。彼らは、この試みが成功するとは思っていなかった可能性が高い。というのも、アメリカの民主主義の神殿にいとも簡単に乱入できたことに唖然としていたからだ。

・侵入準備に関する協議は、侵入の前の数日間、過激派の間で、ソーシャルメディア上で行われた。しかし米国の法執行機関は、国内の右翼過激派によってもたらされる危険性について軽視していた。

・これらのグループはその情報の大半をソーシャルメディアの分析から得ていた。しかし、ここ数ヶ月の間に過激派はフェイスブックやツイッターなどの主流のソーシャルメディアを一斉に放棄し、代わりに彼らが保守的だと考えているギャブやパーラーなどのオンラインプラットフォームに集まっていた。このため慢性的な人員不足で苦しむ治安機関は、彼らについての情報収集を十分にできていなかった。

ツイッターやフェイスブックによる「トランプ支持者」への弾圧は結果的に、治安機関による捜査を困難にしているわけです。言論弾圧は結果的に逆効果になってしまうものなのです。

次に「侵入者たちは何を期待していたのか?」です。

・侵入した過激派は、議事堂の建物の中を歩けるとは思っていなかった。そもそも彼らは中に入って何をしようとしていたかについて具体的な目標を持っているようには見えなかった。

・議事堂の脆弱な警備体制を突破した後の彼らの行動は、非協調的で、奇妙なものだった。彼らの何人かは様々なオフィスを荒らし、美術品や他の物品を略奪した。南軍旗とトランプ支持の旗を振りながら自撮りをし、スローガンを唱えた人たちもいた。

・侵入した人の中には、議事堂の外にいた何千人もの群衆が、自分たちに続いて建物の中に入ってくることを期待していた人もいたようだが、群衆の大半は動かなかった。また、彼らの行動がいわゆる「赤(共和党優勢)」の州で同様のミニ反乱を誘発し、全国的な反乱につながることを期待していた可能性が高いが、そうした動きは起こらなかった。

・特筆すべきは、数百台の監視カメラで監視されているビルの中で顔を隠さないだけでなく、違法行為をしている姿を写真に撮ってネットにアップするなど、侵入に参加した人たちの多くが法的な影響を気にしていないように見えたことだ。彼らがそうしたのは、トランプ氏が120日以降もホワイトハウスに残り、トランプ氏の監視下では起訴されないと本気で信じているからだろう。彼らの多くは今、間違いなくトランプ大統領によって正式に恩赦されることを期待しているだろう。

では「今後、どうなるのか?」です。フィタナキス准教授は次のような見通しを示しています。

・政治評論家たちは、議事堂への侵入をトランプ運動の失態と見なしているようだ。

・今回の事件は、これまで大統領の職を維持するための執念深いキャンペーンに同情的であった穏健な共和党の有権者を驚かせただけでなく、共和党の大多数の議員が選挙結果に異議を唱えるのをやめさせた。そのため、議会によるジョー・バイデン氏の選挙勝利の認定は、簡単かつ迅速に行われるようになった。

・一方、侵入事件に参加したメンバーの多くは自らを革命家として自認していて、今回の侵入事件も第二のアメリカ革命の幕開けだと受け止めている。1812年の戦争以来、初めて議事堂は侵入者によって略奪された。この行為の象徴性と、自称「殉教者」としてその過程で死亡した少なくとも3人の4人の名前は、トランプ運動の過激派を活気づけ、鼓舞するだろう。

・今回の侵入事件に参加した人たちが、首都ワシントンに住んでいないことも重要だ。彼らは連邦内のほぼ全ての州からアメリカの首都に集まってきた。彼らの大半は今、自分の州に戻っている。今回の経験に刺激を受け、次の行動に移る準備を始めている。今後数週間または数ヶ月のうちに逮捕される者はほとんどいないだろう。グループによるものであれ、「一匹狼」によるものであれ、様々な種類の反乱行為が今後数週間の間に起こり続けることはほぼ確実だ。

よってフィタナキス准教授は「成長する反乱」と称して、次のように警告しています。

・現時点では、トランプ運動の過激派は、国家に対する抗議活動の一つと分類されるべきであろう。

・メンバーの多くは、軍人としての経歴を持ち、武器に精通しているため、かなりの量の銃器を所持している。この抗議活動が武装テロなどに発展するとは限らないが、治安当局は、特定の個人に対する標的型攻撃に備えておくべきだ。特に今回の抗議活動は、民主党員ではなく、主にトランプ運動の「裏切り者」とみなされている共和党員に向けられているに留意すべきだ。

・よって(州と連邦の両方の)役職者を保護することを目的とした政治的保護措置は、可能な限り早急に強化されるべきである。反政府過激派の監視と情報収集は最優先されるべきだ。

・また、フランス政府が201511月のイスラム国によるパリ同時多発テロの後に公共施設を保護したのと同じように、政府のインフラを保護すべきである。保護されるべき潜在的なターゲット・リストには、ニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、フェイスブック、ツイッターなど、トランプ支持の過激派が「国民の敵」と見ている民間企業も含まれるべきである。

・最も重要なことは、侵入事件に参加した過激派が、より広範なトランプ運動と共和党全体から引き離され、拒絶されることだ。プラウド・ボーイズのようなグループの指導者は、トランプ政権の関係者や他の選挙運動家と定期的に接触していると思われる。これら反政府勢力とのつながりを持つ政治家は、治安組織によって調査され、違法行為を奨励したり、参加したりしたことが判明した場合、法的な罰則を受けるようにすべきだ。

・このように急速に顕在化しつつある脅威を、治安部門の優先順位リストのトップに置くべきだ。現時点では、これらの過激派が米国にそれほど大きな脅威をもたらすとは思えない。しかし放っておけば、治安機関の抑制能力よりも早くその勢力は拡大し、広がっていく可能性がある。

このようにフィタナキス准教授は、今回の侵入事件がトランプ大統領やその支持団体によって指揮・計画されたものではないことを指摘しつつも、今後、過激派が「暴走」することを想定し、治安機関が早急に対応すべきことを提案しています。そして実際に、治安当局はそのような方向で動くことが予想されます。

今回のことでトランプ大統領とその支持グループを非難したり、「陰謀論」に動かされている人たちを揶揄したりする人がいますが、現実の政治に対応する政策立案者やシンクタンクは、今回の事件をこのように冷静に分析し、その対応策を検討・提案しているのです。

トランプを熱狂的に支持し、議事堂に侵入した人たちを「陰謀論に動かされたバカな集団だ」などと小馬鹿にするだけでは済まないのが現実の政治なのです。

そして日本側としてもこうしたアメリカの議論をさらに詳しく調査・分析し、「侵入なども厭わない反政府の過激派勢力」と「普通の保守系団体」とを明確に区別して議論できるようにしていきたいものです。

救国シンクタンク研究員

江崎 道朗

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このメールは救国シンクタンク会員様にお送りしております。

救国シンクタンクへの継続的なご支援を深く感謝いたします。

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◆救国シンクタンクホームページ

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◆お問合せ先:info@kyuukoku.com


ディープステイトvsトランプ

みたいな話だ。 へんだと思う。

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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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