私家版『授業づくりJapanの 日本が好きになる!歴史全授業』の在庫が15冊になりました。
平成27年(2015年)に初版が出て10年で5刷になりました。
長くご愛顧いただき感謝の気持ちでいっぱいです。
さすがに最近は注文も少なくなり、発送作業も激減して楽になりました。
それで在庫が15冊。たぶん夏までは持つと思います。
渡邊先生や広める会の皆様と相談して、細々とでもいいから灯をともし続けることになりました。
なんと!晴れてある出版社から出していただけることになりましたので、ここにご報告いたします。
つきましては、今後は電子版と紙版との二刀流になります。
この本が単なる「自費出版物」から書店でも買える「書籍」になります!
ありがたいことです。
が、少し時間がかかるかもしれません。出版社さんもお忙しいようですからのんびり待つことにします。
久しぶりに読み返してみて、うんうんなるほどと思うところがあったので、前書きの部分を紹介しますね!
謝 辞
3月に教壇を去って30年の教師生活に終止符を打ちました。一年前出会った渡邉尚久先生 が「教師のための:齋藤武夫の歴史授業講座」を企画してくださり、そのテキスト用にこの冊子が生まれました。本書の誕生は渡邉先生のおかげです。
この「全授業」は自由主義史観研究会授業づくりプロジェクト(現・授業づくりJAPAN) という勉強会でもまれながらつくりました。これらの授業は代表である藤岡信勝先生のご指導のたまものです。藤岡先生の歴史教育研究は私の授業研究の原点であり希望でした。 この勉強会は20年間続き、事務局長の上原卓先生、座長の服部剛先生、安達弘先生、飯島 利一先生、佐藤民男先生など優れた授業実践家が集まる授業づくりの道場でした。本書の授業 にはこれらの先生方に教えていただいたことがたくさん詰まっています。
渡邉先生の「歴史講座」に参加してくださった先生方、日本教師塾に集う志ある先生方の応援も励みになり、背中を押してくださいました。
彩雲出版の高山智道さんと鈴木直絵さんの献身的な助太刀のおかげで、まとまりのなかった 原稿が素敵な本に仕上がりました。お二人との出会いに感謝しています。
最後に大事な教え子の皆さんです。
私は素直な真心と向学心を持った素敵な教え子たちに恵 まれて、楽しく充実した教師人生を歩むことができました。またいつも全身全霊で応援してくださった勇気ある保護者にも支えられました。
子供たちと保護者の皆さんこそ、『日本が好きになる!歴史全授業』のほんとうの生みの親です。皆さまのご多幸をお祈りしています。
このようにたくさんの皆さまのおかげで『日本が好きになる!歴史全授業』が、こうして形になりました。皆さまに心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
明日からはこの本をリュックに入れて、未来の日本の教育を担う、日本大好きな先生方との 新しい出会いの旅に出ます。どこかであなたと出会えますように!
平成27(2015)年4月吉日 齋藤武夫
私の授業がめざしたもの
◆歴史は先人が歩んできた道です。私たち一人一人と血のつながったご先祖が歩んだ道です。 どの時代にもそれぞれの先祖がこの国のどこかで生きていて、歴史人物たちと運命を共にして いました。2000年以上続いた日本の国を皆で支えていました。私たちが今日あるのはそうした先人たちの努力のたまものです。歴史は「他人と事(ひとごと) 」ではなく「わが事」です。誇りある日本 人をめざして、「先人への感謝と国を愛する心」を育てるのが歴史教育の重大な使命だと考えます。
◆歴史教育の今日的課題は2つあります。
1つは無味乾燥な暗記教育をやめることです。これは決断すれば簡単にできます。
もう1つは反日的な歴史教育をやめることです。
「国家は民衆を抑圧する暴力だ」と教えるのを止め「国家は国民が支え合う共同体だ」と教え ます。
「日本は悪いことばかりしてきた邪悪な国だ」と教えるのを止め、「日本は素晴らしい国 だ」「世界に誇れることをたくさんやりとげてきた国だ」と教えます。
◆本書の歴史学習は子供たちの自尊感を高めます。
自尊感は子供の心の安定を生み出します。 適切な自尊感からしか、優しさや公共心は生まれません。
義務教育段階の子供たちの心は柔らかい蕾です。反日教育や無国籍教育は「日本は悪い国だ、 国家は国民の敵だ、おまえたちの先祖は残虐だった……」と、子供の柔らかい心にヤスリをかけ続けるのです。それは子供たちの素直な心に、わざわざ劣等感・反抗心・無関心・自己中心・ 卑怯等々の邪悪な心を植え付けているのです。
本書の授業を行えば、健康な自尊感が自然に育ちます。先人への感謝と日本人としての誇り が育ちます。誇りある自我は卑怯を憎みいじめは激減します。自己を強く肯定し、生きる意欲 を持ちます。向上心を持って努力する子が育つようになるのです。
◆すべての授業ではありませんが、所々に、先人の立場に立って考え、決断し、話し合う学習 を組みこんであります。
「仏か神か」「元の属国になるか戦うか」「キリスト教是か非か」「廃藩置県是か非か」などです。
これを政策選択発問といいます。
子供は選択肢から日本の未来を選び、それがなぜ良いのかを考え、ノートに書きます。
それぞれが立場を明らかにして話し合います。
これは正解がないので、どちらを主張しても子供たちはほめられます。
先人の選択という史 実は教えます。
しかし確かに別の選択肢もあり得ました。そうしたら歴史が変わっていました。
これは歴史の現場に立ち会って当事者として考える体験です。次のような素晴らしい効果があります。
①歴史を現代の常識や道徳観で切り捨てるおごりがなくなり、先人の迷いや苦悩を模擬的に体験し、そのたびに決断して日本を守ってきた先人に深い敬意と感謝の念を持ちます。
②歴史上の政策決定には必ずいくつかの選択肢があり、それぞれにちゃんとした理由があることを理解します。100%正しい政策はないし、100%間違った政策もないことを知ります。A という政策の全体像を理解するには、賛成意見と反対意見の両方の論拠を知ることがたいへん有効だとわかります。これは物事の全体像をつかむためのメディアリテラシーの基本です。
③この学習活動は、将来有権者となる子供たちに、日本の統治者の立場を模擬的に経験させる 意味があります。それは有権者としての公民的資質と能力を訓練することです。 ④話し合いを通して、自分とは違う考え・違う理由・違う感情に出会い、驚いたり発見したり 教えられたりします。こうして、お互いの個性の違いのすばらしさに気づき、論争を通して 級友への敬意が生まれます。
◆単元構成は「わが国の歴史の大きな物語」
歴史は民族の物語です。日本という主人公の骨太なストーリーを教えます。
1 歴史入門(4時間)日本文明の基層(言語・信仰・物づくり・稲作)を形成します。
2 古代日本の国づくり(12時間)シナ中心世界の中で独立し、律令国家を建設します。
3 日本文化の形成期(18時間)世界に誇れる伝統文化や日本精神を生み出します。
4 近代日本の国づくり(19時間)西洋列強の圧迫をはね返し、近代国家を建設します。
5 世界の中の日本(17時間)欧米優位の世界の中で、日本らしい生き方を探求します。
この時代の物語は現在も継続しています。
教師も含めて私たちはいま、歴史の当事者とし て「自分の番」を生きています。
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