守備範囲じゃないのでいいかげんな与太話です。悪しからず。
トランプ2.0はまだ2か月ですが激しく内外を揺らしています。内政は予想通りの展開でこれは「思想戦」の様相を帯びていますが、ある意味わかりやすい。PCに始まる左翼・リベラルの「正義の極端化」に歯止めをかける「常識革命」というのが主軸になっている。これに大きな政府のスリム化や民主党人事への報復人事など。経済の関税路線は結果が出るまでは一つの選択肢と見られているようだ。ここまでは理解可能であり、とくに「思想戦」の意義は大きいと思っている。
トランプの外交政策もだいぶ見えてきた。
伝統のモンロー主義(アメリカ大陸はウチのお庭だから好きにやるよ)と対中国の「戦略的競争関係」(デカップリングを含む)の二本柱のようだ。モンロー主義にはアメリカ大陸の中小弱体国の「主権」は認めない(アメリカの好きにやるよ)という戦略がベースにあるから、これはプーチンの「ウクライナなどには主権はない(ロシアの好きにやるよ)」という戦略と並行的だ。こうして「新帝国主義」覇権国米ロは大国として世界を分けあう同志的な立場になっている。それはアメリカの対中国政策の補完要素になる。
やはりこれは20世紀初頭以来の米国の世界史的立場の大転換ですね。また。19世紀以来の「偉大なる使命を世界に!」という偉大なアメリカの終焉でもあります。MAGAで偉大なアメリカの復活を掲げるトランプには皮肉なことだが、トランプの偉大さはかつてのような偉大さではなく、自国中心の金持ち国として自分勝手にやりますよという方向になってきたようだ。
見えてくる。まあ、アメリカの「使命」が世界中に戦争を起こしてきたという経緯もあるので、これも悪くはないかもしれない。結果、中国、ロシア、北朝鮮などが好きなことを始めることになるかもしれない。禍福は糾える縄なのである。
さて、昨日のホワイトハウスショーは面白かったね。いろいろな解釈が出てますが、正直よくわかりません。
トランプはお金がもったいないのなら、もうウクライナは助けない、勝手にしてちょうだい。NATOからも手を引く。とやればわかりやすいが、そうはしない。それは「パレスチナとウクライナで悲惨な戦争を止めた歴史に残る偉大なアメリカの大統領になりたい」というごく個人的な欲望で動いているようにしか見えない。ついでにレアアースで儲かれば対中デカップリングの位置づけもできるという思惑かも?
昨日のホワイトハウスではバンスが挑発して、ゼレンスキーがそれに乗ってしまったという流れに見えた。
アメリカの思想的軍事的な後援がなければこれ以上戦えないということが見えているわけだから、日本人の感覚では、「これまでもありがとう!これからも助けてください。ほしいものは何でもあげます」と、もみ手でお願いするしかないんじゃないかと思っちゃいますが、ゼレンスキーはそうはしない。思いっきり啖呵を切った。「この世界はアメリカがつくったんでしょ。責任あるでしょ!最後まで助けろよ」という感じだったね。
それでトランプは「ザケンナヨ!」と真っ赤になって怒って、ゼレンスキーをホワイトハウスから追い出した。とメディアは書いていた。トランプは停戦後のウクライナの安全保障に関与しない、欧州に任せるのだから、今後はロシア対NATOの「戦争」になる。トランプは停戦で名を上げたらそれで仕舞いだから、これでよかったんじゃないか?が、レアアースはほしいのか?
どうなるか流動的だがこんな感じかな?
①トランプがレアアースにこだわれば、ウクライナがもう一度歩み寄って手打ち。
②ウクライナ抜きで米ロで停戦を決める。レアアースはロシアが取った東部州からいただく。
戦争の現実はロシアに分があるので、クリミヤどころか東部諸州もウクライナには還ってこない。さらわれた子供たちも洗脳されて終わりだろう。やはり最後は経済力と軍事力がルールを決めるのです。
しかし、この停戦はウクライナの敗北であるとともにロシアの敗北でもある。ロシアは、ウクライナの主権は認めない。国家として無力化する(ロシアの支配下に置く)ことを戦争目的にした。東部州しか取れなかったのだから、ロシアは戦争に負けたのである。
この流れを見たら、プーチンは最後までやろうとするだろう。大統領選でロシア派を当選させる、再び侵略を始めることも大いにあり得る。そのときは、NATOとロシアのガチンコになるかもしれない。
最後に、トランプの「戦争はゼレンスキーが始めたんだ」という奇矯な発言がとても気になる。
これは、強い国が攻めてきたら、大国の援助なしに戦えない国は自衛戦争をはじめてはいけない、という思想があると思われる。ゼレンスキーはそれをやってしまった。
ロシアが攻めてきても。ウクライナが戦わなければこの戦争はなかったんだという思想である。
この考え方に立つと、たくさんの兵士と市民の死の責任は侵略された弱小国の側にあるのだ。
自衛することが戦争責任になる。
世界はいくつかの大国の自由にしてよい。弱小国はそれに従うのが正しい。それが世界平和をもたらすのである。
戦争についてのトランプの明確な思想が見えてきたような気がする。
たしかに、この思想は新帝国主義とよんでよさそうである。
世界中がこの思想に馴れれば、たしかに世界は平和になるかもしれない。ありえないけど。
19世紀の帝国主義の時代にはこの世界秩序思想に反逆した国があった。
そのために戦争が起きて膨大な死者が出た。
たしかに、生存と自由と独立を求めて日本が立ち上がってアジアの帝国主義国にならなければ、東アジアや東南アジアは欧米の支配下で「平和」だったといえなくもない。
歴史に学んで、ウクライナもおとなしくしていればこんな悲惨な戦争にはならなかったんだ、という思想です。
「新帝国主義の時代」がきているというのは本当らしく見えてきますね。
わが国の選択肢はあまりない。
当座はどんなアメリカでもついていくしかありません。
昔のように独立する道もあるでしょうが、多くの日本人はそれを望んでいないように見えます。
そもそも自衛戦争ですら戦う国民がいない。
現状では日本はウクライナにはなれません。
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