昨日2月22日池袋のランドネット大会議室で「日本が好きになる歴史&公民授業セミナー」が開催されました。
たいへん充実した内容の会でした。後世「あそこが公民教育がまともになっていった出発点でしたね」と言われるかもしれません。参加出来た方は幸運だったと思います。
動画配信がありますので、見たい方はぜひ主催者にご連絡ください。
今回は、30年前から中学校の社会科教師として公民&歴史授業の道なき道を開拓されてきた服部剛先生の講演内容のほんの一部ですが、紹介してみます。この日現役の教師数名が授業実践を発表したのですが、彼らの授業の骨格と内容・教材のほとんどは、30年間に及ぶ服部授業実践を継承したものでした。
以下紹介は、要約したものになります。
服部剛「ここがヘンだよ公民教科書(小学校)~歪んだ国民意識と国家認識の形成~」
・日本の歴史&公民教科書の基調は、
日本国憲法は良い憲法(平和憲法)だが帝国憲法は悪い憲法(戦争憲法)
戦後日本は良い国だが戦前日本は悪い国
です。
1 憲法
・日本国憲法は3原則(国民主権・平和主義・基本的人権の尊重)だけ詳細に教える
・残りの4原則(法の支配・間接民主主義・立憲君主制・三権分立主義)とその意義は教えない。
・三大義務に「勤労の義務」が入る異常さ。世界の憲法の義務規定の柱は「国防の義務」です。


2 天皇
・教育内容の二大欠陥
① 統治機関としての天皇・象徴機能の根源
② 立憲君主的な天皇は明治から始まったのではない(古代からの伝統)
が教えられていない。
・天皇の「国事行為」だけを教えている。これは戦後80年の天皇を教えているだけです。
・子供たちが感動する2000年続く天皇の姿を教えよう。



・『大鏡』の醍醐天皇の「諸国の民百姓いかに寒からむとて」の逸話と上皇上皇后両陛下の「自主停電」の大御心
・神武天皇の「建国の詔」
・元旦早朝の四方拝と『江家次第』の唱え言葉(魔寄せ)
・6月晦日と12月大晦日の大祓
などを通して「国安かれ 民安かれ」と祈ってきた天皇の伝統を教える。公平無私の天皇
・だからこそいかなる権力者も、長い歴史のなかで天皇だけは攻撃せず、皇室だけは滅ぼさず、日本は世界で最も古い国になりました。
・天皇が続いてこその日本であること、それゆえの「皇位継承問題」の重要性を教えよう。
・世界の君主のなかでもっとも古くから権力を臣下に与えみずからは権威のみを持って「国のまとまりの中心になった」。これが西洋の近代立憲君主制の先取りだったことがわかります。この国のかたちは現在も変わらない。下図参照

また「三権分立」が成立するのも、天皇の権威があってこそだということだとわかります。

★これらの天皇に関する重要な教育内容が戦後は消されてしまい、小学校から大学まで「天皇が日本の統治機構の重要な一機関であること」が隠されてきました。そして、日本は「象徴天皇制」であって「立憲君主制」ではないとさえ教えます。象徴天皇は単なる「ロボット」だからというわけです。
しかし、実際は服部先生がおっしゃるように、天皇の存在なくして日本の政治制度は成り立ちません。ほかならぬ日本国憲法がそう書いているわけです。
★こういう欺瞞的な教育を止めない限り、子供たちの心は健康に育っていきません。しいて言えば、これを続けることは、昭和初期の「天皇機関説問題」のときのようなファナティックなゆる戻し(天皇主権化など)の可能性がいつまでも消えないといえます。敗戦国日本だった時の不幸な思い込みを早く克服して、健康な日本愛とリアリズムを公民教育にも取り戻してまいりましょう。
★服部剛先生は、30年以上前からこの問題に気づいて、独自に研究すすめ、授業をつくり、横浜の中学校で実践してきました。ずっと孤立無援で攻撃され続けましたが、めげずに志を貫き、現在も中学校で教えています。
かれが創造した「公民授業」が、いま志ある若い教師たちにしっかり受け継がれていることを、昨日のセミナーは目に見えるようにしました。全国の教師たちよ、願わくば刮目してこれを見よ!”
★それは、数年前から若い先生方のために「服部先生の公民授業講座」を企画して、彼らの新しい公民授業実践に道を開き、昨日彼らに実践発表の場を提供してくれた、渡邉尚久校長先生(千葉県船橋市立船橋小学校)のおかげです。
渡邊先生ありがというございました。
また会場とオンラインでご参加いただきました皆様にも御礼を申し上げます。ありがとうございました!
★服部講演の内容は、また後日追加でお知らせしていく予定です。よろしくおp願いします。
コメント