久々の第三公園日記
秋の風が吹いてコスモスや紫式部が気持ち良さそうです。空が高くなって来ました。
先日の講座でやった明治維新の部分をつくったのはまだ20世紀でした。その頃は教科書はズバリ共産党講座派の歴史観で書かれていた。
1 明治維新は失敗した市民革命である
3 日清日露戦争は侵略戦争である
まずはこれを正す柱を立てた。
1 明治維新は西洋列強のアジア侵略に抵抗し独立を守るための国家改造だった
2 封建制を廃止し近代立憲君主国になり、列強と対等な独立国になった
3 日清日露戦争は2を達成する途上で起きた祖国防衛戦争である
その時代を生きた先人の思いに寄り添って共感的に学ぼう!という授業づくりの基本方針はこの時確立しました。
小攘夷 大攘夷 開国 尊王という幕末政局の整理と廃藩置県は封建制の廃止だという発見が授業のキモになった
講座を思い出しながら脳内妄想はいきなりここで飛んだ。なぜか?
川勝平太!
いまいろいろお騒がせな静岡県知事さんですが、あのころ氏の『日本文明と近代西洋 「鎖国」再考 』(NHKブックス)という名著を読んで感動したのを思い出しました。
すっかり忘れていた。
これはマルクス主義の唯物史観に対する実証的なアンチテーゼで、いわゆる下部構造(経済)は上部構造(制度や文化)を規定するという図式を実証的に批判した素晴らしい内容だった。って。これじゃ何言ってるのかわからんね。
具体例をひとつ。
五カ国条約で通商が始まったが日本には関税自主権がなかった。なぜ日本の木綿産業は安価な輸入品に駆逐されなかったのだろう?
これは長年の疑問でしたが、この本でその謎が解けました。
江戸時代に全国の農民が着るようになった木綿は、農作業の吸湿性と柔らかい肌触りを重視して太い糸で織られていました。
入って来たイギリス製の木綿はインドの上流階級のための更紗を織る細い糸が主流でした。
日本の綿織物は生成りや藍染が愛された庶民の普段着でしたが、英国木綿は赤を主とする極彩色で染められたファッショナブルな衣料でした。このため、イギリスの工場で大量生産された安価な綿糸や綿織物は、日本の木綿産業を駆逐できずにせいぜいお茶道具のなかに入ったくらいでした。
このように多くの物品はその国の伝統的な文化複合(上部構造)に依存しており、経済的諸関係(下部構造)が全てを規定するといった単純な図式では、歴史を読み解けませんという結論です。
面白くて目が覚めるような本でしたが、この本の研究成果はどこに行ってしまったのかしら?
川勝平太静岡県知事さま。
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