今朝はまたいつもの炎天に戻りました。昨夜はしっかり眠れて元気回復です。朝散歩もがんばれました。
教科書では16-17世紀のキリスト教問題はこう書かれていました。25年前です。
1 宣教師たちは学校や病院を建て民衆に慈悲を施したのでキリシタンが30万人になった。
2 江戸幕府は神の前の平等を説くキリスト教を封建的な身分制度に対する危険思想だったので厳しく弾圧した。(処刑等を含む)
特に2はツッコミどころ満載ですが、基本的には現在の教科書も大同小異です。
この一面的な教え方を正すために、秀吉から家光の鎖国政策を考える授業を作ったのは大宮市立島小学校で6年生を担任した時でした。たぶんキリスト教と鎖国政策を日本の安全保障問題として教えた本邦初の授業でした。平成11年頃でまだ20世紀でした。
いまは大航海時代をカトリックの世界侵略時代と捉える情報や類書が溢れているのでピンと来ないかもしれませんが、当時はそういう発想自体がなくて、本も少なく、もちろんインターネットもありませんでした。
最初の授業実践は『新装版 学校で学びたい歴史』青林堂 に詳しく書きましたので、関心のある方はぜひ読んでください。鎖国政策を安全保障問題として子供達が考え理解した本邦初の授業です。
教材化のポイントは次の諸点です。
①スペインポルトガルはキリスト教と海賊船(貿易船)と鉄砲の軍隊のセットで世界を侵略し征服し植民地化した。
②西洋って遭遇した日本は彼らとの貿易を歓迎しキリスト教布教やキリシタンにも寛容だった。仏教伝来の時と同様にわが国の伝統は信仰の自由だった。
③宣教師はキリシタン大名に次のような政策を実施させた。仏教や神道は邪教だ。寺と神社は破壊焼却。僧侶と神主は追放。全領民にキリスト教信仰を強制。異教徒は奴隷として海外に売るなど。
④秀吉とフェリペ2世の対決。仏教神道の信仰の自由を守れ!キリシタンの信仰ので自由も守るから。
⑤彼らはこれを否定した。仏教徒と神道の日本人は悪魔であり、キリスト教徒だけが人間である。唯一の神の前に信仰の自由などない!
⑥それでも秀吉は信仰の自由を守り宣教師だけは追放した。貿易は続いたので宣教師は舞い戻りキリシタンは増え続けた。キリシタン大名は長崎に広大な教会領を与えた。
⑦江戸幕府は仏教と神道の信仰の自由を守るためにキリスト教を禁じた。キリシタンやキリシタン大名がスペインと結べば日本の安全後脅かされるからだった。合わせて侵略国家スペインポルトガルを追放した。西洋との交際は布教をしないプロテスタント国オランダに限り幕府が独占する。
⑧危険な覇権国を追放できたのは、日本がたった30年で世界一の鉄砲大国になっていたからだった。もしこの軍事力と信仰の自由という確固とした思想がなければ新大陸のインカやアステカと同じ運命もあり得た。新大陸のネイティブはすべて混血になり当時の男性の遺伝子は残っていない。
最後に重要なのは、こういうことを話して聞かせ教えても、それは授業ではないということです。教育内容がそのまま先生の頭から子供の頭に移せるという妄想が教育をダメにして来ました。
子供が切実な動機を持って問題を考え、友達の考えにも触発されながら、内容の本質に子供達自身が到達する。それが「わかった!」という感動です。そのために教育内容を教材化して、さらにそれを子供の学習活動のシステムに練り上げて、ようやく授業になります。
それが教えるということの醍醐味です
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