1年生に室町幕府第3代将軍足利義満の授業をやりました。
1 まずは恒例のズバリ言いましょうで、この人物が国史の上で果たした代えがたい業績は、南北朝を合一したことであ~ると、解説および断言して入ります。
2 さて、鎌倉以来の商品経済の発達の意義を見抜いた義満は、日明貿易でもうけて、わが国の経済発展を図ろうとします。そして明の皇帝に親書を送りました。
3 明の皇帝は、次のの2条件をのめばOKだと返事をよこしました。「それは何でしょう?」と問いました。
生徒は二つとも答えました。何と優秀なことでしょうか!
A 倭寇を取り締まってくれ!
B 明の家来になれ!
4 ここで本日メインの学習に入ります。
「義満は迷っています。将軍のブレインとなって助言してほしい。つぎの選択肢から立場を選んで、その理由をノートに書きなさい」5分与えました。
意見分布は以下の通りです。
A 明の皇帝の家来になって、貿易をやって大もうけしよう。これが14人。
B 明とは対等な独立国n立場を守るべきだから、貿易も断る。これも14人。
1組では3対26だったので議論は低調でしたが、今回は盛り上がりました。
Aの理由:家来になっても経済発展は大事だ。家来になっても中国はいずれ滅びるからっそれまで儲ければいい。
儲けた金で軍事力をつけて衰えてきた明を滅ぼそう、など。
Bの理由:国の独立は外交では一番重要だから守るべきだ。聖徳太子のご恩を忘れるな。将軍が金儲けのために中国の皇帝にぺこぺこするなんていやだ。たとえ一時的でも独立の伝統を失うべきではない、など。
とても楽しそうでした。○○くんがそういうのはすごくわかるよ!などなど。
5 義満はBを選んだこと。皇帝と義満の親書を示し、この「国王」は日本の伝統に照らしておかしくはないか?と問いました。天皇がいるのに国の代表みたいでおかしい。「王」は皇帝の家臣だが義満は天皇の家臣でもある。っという2つの意見が出た。この発問はちょっと?でした。
6 義満は勘合貿易を始めたこと。勘合貿易の仕組み(勘合符のしくみ。銅を5倍で売って、絹を仕入れて40倍で売ると行って帰って200倍の売り上げだった、など)と、明銭(永楽通宝)が大量に輸入され貨幣経済が進んだこと。今のお金で数千億円を使って花の御所や金閣などを造営したことなど。
7 締めはクイズ。「義満は大きな野望を抱きました。次のどれでしょうか? A:次男を天皇にする。 B:明を征服する。C:黄金の大仏を造る」さてどれでしょうか?
Aは3人。Bは21人。Cは4人でした。
8 義満は次男善嗣を「親王」とした。金閣に天皇を招いたとき同じ衣服をまとい上座に並んで座った。天皇の務め(祈りや位を与えること)を代行した、などを根拠にAを正解としました。真実は多数決では決まりませんねえ。
9 義満は野望を成し遂げる寸前で死にました。善嗣は退けられ、父に反抗して嫌われていた長男義持が将軍となり、日明外交は対等な独立関係にもどりました。めでたしめでたし。
授業後生徒の一人がやってきて、「先生、日本は結果的にうまくやったんじゃないでしょうか?」。う~む、なるほどねえ。今日も楽しかったなあ。
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