歴史の授業を5本書きました。
1本があまり長すぎて、読者はまだわずかですが、めげずに続けようと思っています。
はげましのコメントがありがたかったです。
1本目の「ご先祖様の授業」は授業記録だから、ちょっと長いけれどまあ読み物になっているかと思います。
残りの4本は、私が授業する際のシナリオに当たる「授業案」を投げ出した形(少しは解説を挿入しましたが)で、自分でもとても不親切な文章だなあと思っています。
ただ、すべてをわかりやすい読み物の形で書くのは、たいへんなエネルギーと時間が必要で、私の現状はそれを許しません。
そこで、当座の目的を、4月から小学校6年生を担任される全国の先生方の参考にしていただくという一点にしぼりました。
一部は中学校でも使えると思います。
そういう使い方なら、読者はわずかでも「使える指導案はないかな?」と、
のぞいてもらえるかもしれないからです。
私自身も春からこれをベースに中学校版の授業をつくっていきます。
私は長い間小学校の教員をして、6年生を何回も教えました。
チームを組んだ学年の先生方から
「他の教科はともかく、社会の特に歴史はどう教えていいか分からないんだよね」
という声をよく耳にしました。
それで、これらの教材をそのままやってみてもらったことも多かったのです。
それなりの結果があり、喜んでいただいたことがありました。
なので、もしそういう思いの方がいらっしゃたら、ぜひ追試してみてください。
地域や児童の実態にかかわらず一定の成果が得られると思います。
また、ご批判や、誤りのご指摘をいただいたり、
こうしたらもっとよかったというような修正案のご報告を戴いたりしながら、
この場でよりよい実践をめざしていきたいとも考えています。
どうぞよろしくお願いします。
ここでちょっと5本の授業について少しふり返っておきます。
「ご先祖様の授業」は、歴史の勉強は何か他人事(ひとごと)の知識を覚えるのではなくて、自分の祖先のこと、自分がいまここにある「わけ」にかかわる「わがこと」の勉強なんだなという気持ちを持ってもらうためにつくりました。
だから、このテーマは1年間の授業の中でくり返し立ち戻り、意識させ続けるようにしています。
先人・先祖への感謝の気持ち、国を愛する心情は、そういう背景の中で歴史を学んではじめて育まれると思っています。
縄文時代の授業は1時間なのでおもしろい話をずいぶんそぎ落としたものになっています。
14000年縄文が続いて、それが終わったら、たった2000年で今になったということが大事だと思います。
変化の核心は国家形成です。縄文という、質的な変化のない、気の遠くなるような長い時間で育まれたものが私たち日本人のベースにあります。
その上に弥生以来の「変化の時代」がのっかているというとらえ方が重要だと思います。
縄文の授業は多くの場合、出土品の面白さや、「狩猟と採集」という「どうやって食っていたか」という話にかたよりがちです。
私は、14000年の精神の形成に思いを致すべきだと思います。
日本語の始まり、
自然の豊穣と脅威への祈りと死者への祈りの始まり、
神々の物語の始まり、
それらが縄文のくり返される年月であったことを教えたいと思いました。
なぜなら私たちの歴史は、つい最近まで祈ることしかできない運命に翻弄されてきたからです。
私の兄は、私が生まれる前に、1歳の誕生日を迎える前に亡くなりました。
肺炎で村には病院がなかったからです。
私の両親はただひたすら祈りましたが、かわなかった。
昭和20年代ですらそうなのです。
神々や仏の力、祈る人々の真摯さ、歴史の中のそういった場面に、
正しい敬意をはらえる授業でありたいと思います。
この震災で世界中からたたえられた日本人の精神性、
「冷静さ、自助努力、ゆずりあい、支え合い、調和、不屈さ」等々は、
この14000年の縄文時代に原点があるという直感を持っています。
弥生時代の授業3本について。
巨大な変化の時代の始まりは、すなわち国家形成の始まりであり、歴史の始まりでもあるという考え方です。
そして、わが国の国家形成が、大陸(中国)という外部からのインパクト(人と物と情報文化の流入)によって始まるという点が重要です。
強い危機意識、および、外来文化の受容と伝統文化の保守の共存。両者の統合と再生。
その後のわが国の歴史の原型がここに最初に現れるからです。
歴史上初の外圧は奈良時代まで続き、その危機意識の中で古代日本が完成します。
2番目は元寇、3番目は南蛮、4番目は西洋列強です。
1番目と4番目はほぼ同型の反復で、わが国は2回国家形成をしたというのが私のとらえ方です。
2番目と3番目はその特殊な展開型だと思います。
外部からの圧力が弱まると、わが国の国家意識も弱まります。平安と江戸がその原型です。
弥生時代のもう1つのポイントは、わが国の国家形成が華夷秩序(中華册封体制)という東アジアの国際秩序の下で、漢や魏の周辺国(属国)という状況から始まることです。
この点をしっかり教えないと、聖徳太子による「華夷秩序からの独立」の意義を感動深く学ぶことが出来ません。
種をまき、収穫を喜び、また種をまく。
歴史教育もまたそのくり返しです。
次回から大和朝廷(皇室)の国家:日本(国号はまだ「日本」ではないが)が姿を現します。
最後にひと言。
私の授業づくりは、自由主義史観研究会の仲間との共同作業の結果です。
この研究会は小中高大とすべての学校の先生がそろっていて、とても勉強になります。
リンクをたどってHP「教科書が教えない歴史」(自由主義史観研究会公式ホームページ)も、
ご覧いただければ幸いです。
そこにも、使える授業がたくさん発表されています。
コメント
コメント一覧 (4件)
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齋藤武夫先生の尊い実践をウェブで
拝見出来ること大変幸せです。
6年生を担任する同僚,友人に紹介しています。
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ご無沙汰しております。
ブログで斎藤さんの元気なお姿を拝見し、うれしく思います。
それにしても、このブログはブログの範疇を超えています。
若手の教員に紹介します。
これからもいろいろと学ばせてください。
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中学校の教員です。授業案で悩んでいたら、ここにたどり着きました。すごくわかりやすくて、感激です。指導教官の先生に実施で教えていただいているような安心感があります。また、事実のみ教えるのではなく精神を教えていきたいとおっしゃる先生の意見に心から賛成です。これからも、たくさん訪れます。新たなページを楽しみにしています。本当にありがとう御座いました。
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はじめまして。今年初めて6年生社会を教えることになった非常勤講師です。(今までは少人数算数担当でした)
子供たちに初めて歴史を教えるものとして、興味が持てるような授業をしたいのですが、指導案どうりの調べ学習ではあまりおもしろくない気がして調べていたところ、こちらを拝見しました。とてもためになりました。勝手ながら参考にさせていただくことお許しください。
経験があられる方の実践はとても為になります。講師だと他の方の授業を見たり研究に参加したりできず困っていたあので助かりました。これからもぜひ色々な実践を教えてください。
感謝の気持ちを伝えたくて、コメントさせていただきました。