北朝鮮拉致をゆるしてきた日本・国民を奪還できない日本



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北朝鮮拉致問題を「解決する」ためには、拉致された国民を奪い返さなければなりません。
拉致事件は人権問題であると同時に主権侵害問題だと言われます。
人権問題はわかりますが、「主権侵害」とはどういうことなのかな?と考えてみました。

いちばんわかりやすいのは軍隊を使ってその国に攻め込むことです(ロシアのウクライナ侵攻)。
イスラエル領土で行われたハマスによる大規模なテロとイスラエル人拉致もそうですね。
アメリカが中南米でやってきたCIAなどの作戦行為も同じです。
ロシア(プーチン)は旧ソ連領だった国々の「主権」を認めていませんし、アメリカは中南米の国々の「主権」をまったく認めていないように見えます。

主権侵害とは「国家が侵略された」ということなのですね。

ふつう主権国家が侵略された場合、まずはじめに報復または自衛ための軍事行動に出ます。主権侵害とはテロ攻撃や戦争と同じだからです。この軍事的報復を国際法は合法であるとしています。だからイスラエルのガザへの軍事行動は合法的でした。(ただし、戦いの進め方についてはまた別に国際法の定めがあります。ハマスはイスラエルを「戦争犯罪」と非難しましたが、イスラエルはハマスが住民を盾にしていることを理由に「合法」と主張しています。)

ですから、国際法的には、された側はまず報復(主権侵害をやり返)して主権の不均衡状態を元に戻し、しかる後に人権問題を解決するという流れを想定しています。例えば上記のような、ハマスのテロに対してイスラエルの取った行動がそれで、イスラエルはその戦いの成果としてま拉致された国民をいま取り返し始めています。

日本の場合は「北朝鮮の主権侵害への報復」はどうすればよかったのか? これは誰も書いていないので、素人のぼくはわかりません。

たとえば、国内の北朝鮮国籍の工作員とその協力者を逮捕・収容して、「この人々を戦死扱いにしなければならないかもしれない(これは戦争の死ですので殺害には当たらないと主張できるかもしれません・難しいでしょうが)」と宣言することが考えられます。しかし、これはまだ「報復」というよりも「報復の意思」を示すくらいのところです。

いちばんわかりやすいのは、まず自衛隊による軍事的な報復を行い、しかる後拉致された国民の奪還を企図するのが国際社会の常識だと思われます。まあ強い主権国家の常識ですので日本は採用できませんでした。まあ報復の手段はさまざまな選択肢があると思われます。

しかし、そもそもわが国は主権を侵害されても報復は出来ない国でした。戦争に負けてから、「反省して」すすんでそういう国(半主権国家?)になったわけです。

つまり、主権を侵害されて、国民を拉致されても、報復はできません。お米やお金を差し上げて拉致された国民を「帰してください」と「お願いする」しかない国になりました。なりましたというか、国民がそれを選んだわけです。

それはこういうことです。
本気で奪還する気持ちがあれば、政府はまず始めに軍事的な作戦を立てるでしょう。しかしふつうの主権国家なら考えるだろう軍事作戦を、わが国の政府は考えた形跡がありません。そして国民はそういう政府を支持してきました。野党も同じなので国民には選択肢がなかったと言うのが実際かもしれません。

軍事作戦は始めから取らないと言うのが国是だから、政府がそれを考えもしなかったのは当然でした。敵はミサイルと核を持っているから、結果的に正しかったのかもしれません。多くてもせいぜい1000人くらいの拉致された国民を取り返すために、関東平野がまるごと吹き飛んではいけな受け入れざるを得ません受け入れざるを得ません。事ここに至ってはそれが合理的な判断なのでしょう。

ただし、同じ「お願いする」にしても、こちらが核爆弾と性能のいいミサイルを持っていれば、交渉の場もいまとはかなり違ったものになっていたかもしれません。しかし、これも国是に反してしまいます。

以上の日本の姿は、国民が好んでそうしたので、拉致されても仕方がない国、拉致被害者は帰ってこなくても仕方がない国を、われわれはつくってきたということになるのでしょう。

まさか、隣国が堂々と人さらいをやって恥じない国だとは思いもしなかったのでしょう。

そのうえ、日本は工作員が簡単に入国できて(北の工作員は日本入国はパチンコ屋に行くくらい簡単だったと証言しました)、国内には北朝鮮工作員を助けるさまざまな施設や人的ネットワークがふんだんにあり、戦後すぐのころから何十年も拉致は続いていて、うすうす知っていた人はたくさんいたのに、無防備ですきだらけのまま今日まで来ました。状況は現在もあまり変わっていません。

こちらが戦争を放棄すれば、相手も戦争を放棄するだろうと憲法に書き、それをほがらかに実践してきてしまいました。こちらが主権を放棄しているんだから外国は主権侵害なんかしないだろう。そんなことはありませんでした。

戦争(拉致などのあらゆる主権侵害を含む)は日本のことを放棄していなかったということです。

さて、いつも拉致問題のことが頭の片隅にあり、本も読み、情報を集め、むにゃむにゃ考えていますが、どこまでいっても素人の浅知恵です。そして、いつも帰ってくるのはしょうもない次の問いです。

このままの日本でいいのだろうか?

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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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