就任前のトランプが毎日傲慢かましていますが、彼が言うと本気に聞こえてくるから不思議です。ロシア(プーチン)が旧ソ連衛星国の国家主権を本音では認めていないように、アメリカも中南米諸国の主権なんかはなから認めてきまsんでした。CIAが中南米諸国でまるで自分の庭のように好き勝手やってきたことでもわかります。
ただロシアの侵略戦争以来、強い国は好きにしていいんだという気分が広がっていくようです。まあ実際の世界はずっとそうだったんですが、大戦後の世界は表向きは「国連憲章は尊重します」という態度を取り繕ってきました。
しかし、ロシア・ウクライナ戦争はそれを無効にしたようにみえるので、トランプのパナマ・カナダ・グリーンランド発言は、グレートアメリカもロシアのプーチン路線を継承するぞという宣言に見えなくもありません。
真実はどうであれ、日本は「自由主義世界の安全保障のため」という大義名分があれば大概のことは受け入れざるを得ないだろうと思います。グレートジャパンをめざすためにも当分はアメリカと共に!は大前提です。
ところで、グリーンランドは昔からソ連のミサイルの通り道ですから米軍基地がしっかりあって、最近は温暖化問題や資源問題でも各国の安全保障上重要な島になっています。中国も北極海に強い関心を示してきました。
ところで、グリーンランド人って誰のことだ?どうやってデンマーク領になったのかなあ?と何にも知らないので調べていたらこんな記事にぶつかりました。基礎知識としてMSNニュースから以下、引用します。関心のある方はご覧ください。
-----------------------------------------------------
ヌークの海辺で話を聞いたペール・ブロベルグさんは、自治政府の外相やビジネス貿易経済産業相を歴任した地元の政治家だ。彼にとってはトランプ氏の(2019年の)発言よりも、当時のデンマーク政府の慌て気味の反発が愉快だった。それまでデンマーク政府のグリーンランドに対しての態度は“君たちを相手にする国なんて我々デンマーク以外ないよ”というものだったからだと言う。
「デンマークにとってみれば、グリーンランドはお荷物であり頭痛の種なんだから、グリーンランドはデンマークに感謝すべきだ、という具合でしたからね」
「そこへトランプが“大金を払うよ”と言ったわけですから。我々に多少なりとも価値があるってことがわかったでしょう」
着ている長袖シャツには黒地に白い文字で「DECOLONIZE」つまり「脱植民地化」と書かれている。グリーンランドは人口6万人にも満たないが、実は独立志向が強い。今回、トランプ氏は「住民投票をやれば独立や、アメリカへの編入を選ぶんじゃないか」と述べたが、確かに世論調査をすれば必ず独立支持が半数以上を占める。自治政府のエエデ現首相も独立推進派だ。
そもそもデンマーク人が来る前からグリーンランドに住んでいたイヌイットの人たちは、容姿だけでなく、文化も風習もデンマークのデーン人とは異なる。そして彼らの中には「デンマーク人から見下され続けている」という意識がある。
トランプ・ジュニア氏が投稿した記念写真の一つはヌークの街を一望できる丘に立つハンス・エゲデの銅像の前で撮影したものだ。18世紀にグリーンランドに来てキリスト教化を推進した宣教師だが、私が2年半前に訪れた時には像の鼻のあたりが赤くなっていて、まるで鼻血が出ているように見えた。ブラック・ライヴズ・マター運動に触発された独立派アクティビストたちが赤いペンキを投げつけたのだそうだ。エゲデはキリスト教化を進める中でイヌイットの伝統文化を「異質なもの」として排除、顔や手に入れる刺青や、うちわ太鼓を叩いて歌い踊る習慣なども禁止した。いわばデンマークによる抑圧の象徴だったため、標的にされたのだ。
1950年代にはデンマーク政府が、グリーンランドから22人の子どもをデンマークに移住させて「同化教育」を受けさせ、グリーンランドに戻してロールモデルにする、という、今から考えれば荒唐無稽な社会実験を行った(2020年、デンマーク政府はこの件について初めて公式に謝罪した)。イヌイットはグリーンランドの人口のおよそ9割を占めるにもかかわらず、母語のグリーンランド語に加えて、全く別種の言葉であるデンマーク語が話せなければ高等教育は受けられない、という状況は今も続いている。
「この社会システムは、劣等感を植え付けるんです」
そう話すのは、50年代の「実験」に参加させられた児童の一人を母親に持つパニングワクさんだ。グリーンランドの非常に高い自殺率も、蔓延するアルコール依存も、デンマークの支配によって再生産される「自尊心の低さ」が影響していると言う。
「すべてが植民地支配のせいだとは言いませんが、影響はあります。人口500万人の社会(デンマーク)の制度が、わずか5万人の、全く違う文化を持つ社会にコピペされたんです。うまくいくはずがありません」
「言葉を否定され、文化を否定されれば、死にたくなるのも当然です」
実はパニングワクさんも10代の時、二度、自殺未遂をした。酒も13歳から飲むようになった。家族も止めなかった。テレビや雑誌に登場する女性は美しい白人のデンマーク人ばかり。イヌイットのロールモデルはメディアの中にも、周囲にもいなかった。
「素敵な人生なんて私には訪れないんだ、と絶望したんです」
それでも二度目の自殺未遂の後、心機一転、アルコールを絶ったパニングワクさんは、イヌイットのルーツを意識することで自分を取り戻していく。伝統的な刺青を入れ、独立を訴えるアクティビストになった。独立したら全てが解決するわけではないが、「植民地マインド」から抜け出すスタートになるはずだ、と確信している。
「親世代、とりわけ女性は声高に主張することを避けてきましたが、自分たちの世代で負の連鎖を断ち切るんです」
「これは自分の子供たちのためでもあります。そして、若い人たちのロールモデルにもなりたいんです」
実際には、予算の多くをデンマークからの支援に頼るグリーンランドがすぐに独立する、というのは現実的ではない。デンマーク政府に対して辛辣なコメントをしていたブロベルグさんも「たとえ独立したとしてもデンマークが最も近いパートナーであることは変わらないだろうし、グリーンランドはNATOの一員であり続けるだろう」と予見した。
一方、同じ海辺で話を聞いた独立活動家のリリ・ケミニツさんは「選択肢は限定せず、一番良い条件を出すところと一緒にやるべき」との意見だった。デンマーク王立防衛アカデミーのイェップ・ストランベルグ助教も「中国などからの関心をレバレッジにして、アメリカやデンマークからより良い条件の投資を引き出すこともできる」と指摘した。
これまで「低く見られてきた」グリーンランドの人たちは、トランプ氏と温暖化がもたらしたスポットライトをうまく利用していきたいと考えているのだろう。
では、トランプ氏のグリーンランド領有の本気度はいかほどなのか。
2022年の取材時、ストランベルグ助教は2019年のトランプ氏の「グリーンランドを買ってもいい」発言について「アメリカが、デンマーク政府に対して“もっとグリーンランドの防衛に力を入れるべきだ”と求めると同時に、世界、特に中国に対して、グリーンランドに手を出すな、と宣言したのだろう」との見方だった。つまり、外交術の一環だ、と。
今回も似たような分析が聞こえてくるが、トランプ氏が再度言及したことで、「あれは一過性の思い付きではなかったんだ」との印象を与えたことも確かだ。
トランプ2.0に、北極圏もザワついている。
----------------------------------------------------
【注意】この記事は米国(トランプ)のプロパガンダである可能性があります。
コメント