第6回日本が好きになる!歴史授業講座終了!



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第6回日本が好きになる!歴史授業講座を終えました。

今回は近代日本の国づくり2「近代立憲君主国の建設」というタイトルでやりました。

授業は「福沢諭吉と文明開化」~「ポーツマス条約と不平等条約完全改正(明治の国家目標の達成)」までを扱いました。

裏テーマが3つありました。



1 復古(神武創業)と近代化という対立軸。明治のリーダーにとって復古と近代化(西洋化)は共存していました。前者は神道を純化して天皇を近代国民国家の強力な中心にすることでした。それが神祇官や神仏分離などの政策の意図でした。

後者は富国強兵に結び付くすべてです。産業、資本主義、官僚制、教育などの近代的諸制度から生活習慣に至るまで文明開化が進んでいきます。復古も近代化も彼らにとっては「日本を強い国にする」という目標の下の二本柱でした。

しかし、復古を文字通りの神武創業を考えた日本人もいました(島崎藤村『夜明け前』の青山半蔵)。純粋な日本。仏教以前の日本に戻りたいという強い欲求です。からごころまで排したいという人々は、そのうえに西洋化まで受け入れることは耐え難いことでした。

ほんとうは仏教以前の日本というのは幻なのですが、ここで起きていることは古代日本で起きていたこととよく似ています。

日本が生き残るために必要だった西洋化・近代化への不満はずっと底流として残り、危機の時代になると噴き出してきます。南北朝正閏論問題や天皇機関説問題など、大正から昭和の国粋主義的主張はここからエネルギーを得ていました。

伝統文化VS外来文化=保守(右)VS革新(左)という分断は実は古代以来の日本文明の由来に起源を持っています。

現代日本の第3の国づくりを考えるときこれが中心のテーマです。個人的には「日本を取り戻す」というイメージよりも「日本を新たに創造する」というイメージの方が望ましいと考えています。

それは「仏教以前の日本+日本化した漢字文化+日本化した近代文化」という三つの総合が日本文明になるイメージです。

(ぼんやり考えてきたことなので、いますぐここで嚙みつかないでくださいね。ゆっくり考えていきましょう。)

2 大日本帝国憲法は西洋化・近代化の最重要な到達点ですが、同時に「日本発見」でもあったということです。

一君万民という平等思想・しらすという大みたからを目的とする統治思想、政策選択における合議(会議)尊重という政治思想。天皇は権威で摂関・幕府は権力という立憲的体制。これらは伊藤や井上が依拠したもともと日本にあった憲法の発見です。これは「それは西洋よりも古く日本にあったじゃないか!」という話です。

梅棹忠夫の『文明の生態史観』の西洋と日本は並行的に近代に進化してきた文明であるという発見と重なります。インドや中国やアラブやスラブと比べたら日本ははるかに西洋に近い文明だとわかります。これも第3の国づくりの大きなヒントになります。



3 近代国際法秩序と東アジア華夷秩序という二つの世界秩序の衝突と後者の消滅です。この転換の中心のプレイヤーが日清・日露戦争の日本でした。二つの戦争に勝利した日本は幕末の国家目標を達成し「世界列強」の一員になります。

身分差別的世界秩序のプレイヤー(支配者)であると同時に虐げられたアジア地域の希望の星という矛盾は、ある意味で幕末よりもさらに厳しい運命だと言えるでしょう。

その結果どうなっていったか?

1854年の不平等条約から1911年の完全改正(日本が列強と対等な独立国になった)まで57年。これが明治日本の建設でした。

1911年から1945年(敗戦-占領)の34年は、完成した近代国家が滅びる寸前まで行った歩みです。建設の57年と滅亡へ向う34年。



次回はこの後半を取り上げます。

もちろん子供向け(小中学校)ですからそのレベルの授業です。上に書いた裏テーマはここ数年講座をやるうちに少しずつ生まれてきた考えですので、それが実際の授業に反映しているわけではありません。講座の中で少し触れる程度のお話です。

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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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