この本を推薦するサイトや書評などからはもっと国粋的な内容を予想していた。
オビの推薦の文句もそんなかんじであったし。
読んでみればそのような印象は覆った。
非常に正統的な歴史の授業の構成である。
自虐史観でもないし、国粋的でもない。
学習指導要領(賛否色々な考えもあろうが)の内容にも教科書にも忠実である。
児童達が自ら考え、自ら学ぶように導いていく授業設計も見事なものである。
外国との接触において日本は自分たちの存在について向き合わなければならなくなる。
限られた紙幅であるので、最も影響の強かった聖徳太子、明治維新、太平洋戦争にしぼって授業の内容や展開を記述している。
外国との接触であるが、あくまでも「日本はどうしたか」を突き詰めていく。
大きな困難に直面した当時の日本人はどのように考え、どのように対処したかを追体験し、自己の経験として再構成し、日本という国の成り立ちについて思索をより深めていく。
「日本はどのようにして出来たか」
「日本はどのような人々が作り上げてきたか」
>これが著者の歴史授業で重視する論点である。
今の日本は幾星霜もの年月を経て、偉大でもあり、平凡でもある幾多の先人の成果の上に築き上げられてきたものである。
それは至極当たり前の事実である。
この当たり前の事実を児童達が自ら学び、自ら気付いていくようにする授業設計にも注目すべき点は多い。
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