要するに向山洋一は教育技術を共有財産にするという壮大な夢を実現するために、授業をそのまま真似してやってみることができるようにしたのです。
向山の着眼点は教師の言葉でした。
教育は言葉でできているのです!
教師は具体的になんと言ったのか?
・指示
・発問
・説明
という3つのカテゴリーに分けて「教師が言った言葉をそのまま記録しよう」と提案したのです。
そして、発問については特に罫線の枠で囲むことにしたのだ。
この枠の中の目立たせる言葉「発問」こそが授業の骨格であり、枠によって授業の構成も見えるようになりました。
これが、今の世の全国の教室で当たり前になっている「授業を追試する」という研究法の起源なのです。
それまではワケのわからない「指導案」または一層訳のわからない「TC型の授業記録」しかなかったことを思えば人力車から自動車になったくらいの教育研究の技術革新でした。
ぼくの『日本が好きになる!歴史全授業』も「向山式の論文」を模倣して書かれています。
だからみなさんは、そのままやってみることもできるし、ちょっと又は大幅に修正して追試することもできるようになったのです。
向山洋一と明治図書のあのときの英断と粘り強い教育技術の法則化運動がなければ、ぼくたちはいまも訳の分からない指導案または授業記録の前で途方に暮れていたことでしょう。
教師たちはみな一から自分の力で毎日のすべての教科の授業をつくり続けていたのだと思います。
そういうわけで先人の努力と研鑽のおかげで、はじめて『日本が好きになる!歴史全授業』を広める運動も可能になっているのです。
感謝の気持ちを忘れないようにしたいものです。
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