『学校でまなびたい歴史』 2  歴史入門(2)



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歴史入門「歴史の中にはご先祖様が生きている」(2)

◆授業の実際◆

1 歴史人物を何人知っていますか?
『今日から日本の歴史を勉強していきます。みなさんは日本の歴史の有名人で誰か知っていますか? 知っている名前を教えてください』
この授業はいきなりこう問うことから始める。

ほぼ全員の手が挙がるのをたしかめてから、座席の一列を一度に立たせ、前から一人ずつ言わせていく。

「徳川家康」「織田信長」「野口英世」「西郷隆盛」「卑弥呼」「明治天皇」「聖徳太子」「豊臣秀吉」・・・と、次々と答えが返ってくる。こうしておよそ二十人ほどの名前があがった。

ここから先は数名の物知りの天下になる。なかにはマニアしか知らないような新撰組の隊士の名を上げ始める者もいる。これは後に新撰組マンガのファンであるとわかったが、ほどほどで切り上げて次に進もう。

『すばらしいね。まだ勉強していない人をよく知っていました。』

こう言って、四十二人の人物が書かれた資料と、カード型の年表を黒板に貼る。

カードは、およそ四百年が一枚になる等尺年表である。
色分けした「古墳・奈良」「平安」「鎌倉・室町・戦国・安土桃山」「江戸・明治・大正・昭和・平成」の四枚で、大まかにとらえれば、それぞれがおよそ四百年(同じ長さになる)仕掛けである。

わが国は、およそ四百年間で古代日本を建設し、その後のおよそ千年で国家と文化の自己形成を成しとげ、最近の二百年で近代国家を形成した。これが最も単純化した日本という国の物語であるが、この話はまた後にしよう。

ここでは主な時代名を書いた年表のどこかに、先ほど子供たちが挙げた人物が位置づくことを示せればいい。

『国ができておよそ一六〇〇年です。卑弥呼はこの年表よりも少し前の時代、源頼朝は鎌倉時代・・・というように、歴史上の有名人はそれぞれが日本の歴史の上で大きな働きをしました。歴史の授業では、偉大な人物たちがやりとげた仕事や、その仕事をやりとげたときの心や考えを学んでいきます。出てくる主な人物は、みな日本の国づくりに大きな働きをしました。そのつながりの末に今の日本があります。そのおかげで、私たちがいま日本人として生きられるのですね。これらの人物の働きを通して、日本の国の歩みを学ぶのが今日から始まった歴史の勉強です。

今日は、歴史を学ぶ心構えをつくる大事な学習です。この授業が終わったとき、みなさんが、なるほどそうかと歴史の勉強にやる気を出してくれるとうれしいです』

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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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