中学2年「第二次世界大戦が始まる」



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《前時の説明》
シナ事変が終わらないのは英米が蒋介石を支援しているからだった。
国民は、欧米列強とは一度も戦わず彼らと組んで日本を敵国としているシナを、アジアの裏切り者だと感じた。
そして、長く続くシナとの戦争の真の敵は英米ではないのかと考えるようになった。

1 ノモンハン事件
1939(14)5月、ソ連との満州国国境で軍事衝突。ソ連崩壊で秘密情報が出てきて、戦闘では大日本帝国陸軍のほうがやや勝っていたっこ(死傷者数)とがわかった。ソ連軍は以後日本軍を怖がるようになった。

2 第2次世界大戦のはじまり
1939(14)8月 独ソ不可侵条約
ドイツとソ連はポーランドを分割して併合する約束を結ぶ。そして1ヶ月後にそれを実行に移した。まさに弱肉強食の独裁国家どうしのやることだ。
ヒトラー2

1939(14)9月 ドイツ軍がポーランドに侵攻。ソ連も東から侵攻。独ソでポーランドは蹂ポーランドとの条約をもとに、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告して、第二次世界大戦が始まった。

1940(15) ドイツはフランスを含む全ヨーロッパを占領し、バルカン半島も占領した。ドイツの進撃はとどまるところを知らない勢いに見えた。

日本のリーダーたちはドイツと組もうというグループと、英米と組みたいというグループに分かれた。昭和天皇はドイツよりも英に親近感を持っておられた。

3 松岡洋右の構想
matuokayousuke.jpg

外務大臣松岡洋右は次のような壮大なプランを持っていた。
〈独ソは不可侵条約を結んでいる。日独伊で同盟を組み、ソ連とも条約を結べれば、日独伊ソの強力なグループができる。いずれアメリカもイギリスを応援するだろうが、英米VS日独伊ソならば、力は均衡しているからこれ以上戦争が広がることはなくなるだろう〉

松岡は構想力だけでなく行動力もあった。
瞬く間にこのプランを完成させてしまったのだ。
1940(15) 9月 日独伊三国同盟
1941(16) 4月 日ソ中立条約

すると、わずか2ヶ月後、あっと驚くとんでもないことが起きた。
ヒトラーがイギリスを攻めるのをあきらめて、ソ連に進撃を始めたのだ。

1941(16) 6月 ドイツ軍が「独ソ不可侵条約」を破ってソ連に攻め込んだ。

松岡のプランはたった2ヶ月で砕け散った。
ヒトラーの頭は常識を超えていた。

4 南進か北進か?
日本では以前から南進論と北進論が対立していた。この時期近衛内閣と陸海軍はほぼ南進論に決まっていたのだが、自分の構想が失敗した松岡洋右は、ここで断固たる北進論をとなえます。

今日はこの対立を考えてみましょう。
次の資料で、両論を示し考えさせる。

*******************************

南進論(近衛文麿)
・援蒋ルートを断ち切り、シナ事変を終わらせることを優先すべきだ。
・東南アジアの資源(オランダ領インドシナ=いまのインドネシアの石油など)を活用しよう。
・東南アジアの植民地解放につながるだろう。
・北進とはソ連との戦争だ。「中立条約(約束)を破りたくない」(昭和天皇)
近衛文麿2

北進論(松岡洋右)
・共産主義こそ日本の真の敵である。
・ドイツと挟み撃ちすればソ連はつぶせる。
・シベリアの資源を活用しよう。
・南進すれば植民地を支配する米英と戦うことになる。これこそ危険だ。
matuokayousuke.jpg

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*2学級で授業して、南進論派(24名)、北進論派(29名)になった。
いくつか代表的な意見を示しておく。

南進論
・私は南進が正しいと思います。理由は、北進でソ連を攻めればはさみういちで勝てるかもしれませんが、いつ裏切るかわからない国(ドイツ)と力を合わせるのは危ないと思う。それに日本はいま中国との戦争を終わらせるのが一番重要だと思う。松岡さんはドイツに裏切られて、作戦を変更せざるを得ないので、けっこう無理矢理な考えになっているのではないか?

・私はAの南進です。たしかに共産主義は敵ですが、ドイツも共産主義と同じです。はさみうちでソ連に勝てたとしても、その後日本はドイツとやっていけるでしょうか?中国との戦争を終わらせるのが先です。

・松岡は一回失敗しているので信用できない。

・英米と直接対決になってしまうかもしれないが、そうでもしないとこの戦争は終わらないと思うからです。ほんとうに戦争を終わらせたいなら、男らしくガチンコ勝負するしかないと思います。

・北進してロシアを攻めても勝てる保障はないし、日中戦争もあり、ロシアとの戦いもありでは日本が大変(汗)。またドイツは訳のわからないことを始めるかも(笑)しれないから、手を組まない方が良いと思う。

・援蒋ルートをたち切り、日中戦争を即座に終わらせる。日本に必要な資源を東南アジアで補給した後、アジアの植民地を解放し、アメリカ・イギリスを崩すための戦力にする。Bの場合だと、日本の戦力が減る可能性があるし、わざわざ共産主義を止めるなら、日中戦争を終わらせる方が良い。ドイツとソ連をはさみうちにするのは少し賭けに出過ぎだと思う。

・泥沼化した日中戦争を終わらせるには援蒋ルートを絶つ必要があり、戦争が終われば日中で組んで東アジアが立ち上がることができる。そうすればソ連に対しても対抗できる。東南アジアで独立運動が起き、日本と中国を中心に、白人と対等になれる可能性が出てくる。

・日本は昔からアジアの植民地の解放を望んでいた。そういう意志を持ってがんばってきたのならば、それを貫いていけばいい。ベルサイユ会議の「人種平等」という目標を貫きたい。

北進論
・私はBです。ドイツは信用できないけど、共産主義にふりまわされてきたのも確かだしイギリスとアメリカを敵に回すのは良くないと思うからです。中国への援助を断ち切る方法は戦争だけじゃないと思います。植民地解放は日本の最重要な課題ではないと考えるからです。

・私はB派です。Aは理想主義かなと思います。植民地解放をめざして敵を増やしてもどうかと思います。植民地の人も日本と同じように努力して独立すべきです。

・私はBを選びます。なぜかというと、Aはアメリカイギリスと本気で戦わなければならないからです。そうすると日本という国が弱くなり、日本が恐れている共産主義になる可能性があります。今までのスタイルである「協調外交」でいくならBだと思いました。

・ソ連とドイツを倒せば、この世から共産主義とファシズムを消すことができる。独裁政治がなくなれば、虐殺などもなくなり、平和になると思う。イギリス・アメリカと組んでソ連・ドイツを倒したい。

・僕は北進がいいと思います。理由は二つあります。一つ目は、ソ連はあとあとじゃまになるから早めにぶっ倒した方がいいからです。二つ目は、ロシアを倒せば世界の共産主義国家が滅びると思ったからです。

・自分はBです。たしかに植民地を解放することも大事ではあるけれども、今の本当の敵はソ連とドイツ。同盟や条約を結んでいても、いずれは裏切り、裏切られの繰り返しで戦争になり、つぶし合いになると思うので、つぶすなら今のうちということでBです。

・私はBにしたほうがいいと思います。なぜなら日本の最大の敵は共産主義だと思うから。共産主義を終わらせなければ何もはじまらないと思うからです。また、シベリア資源を使うなどして、ソ連をドイツとはさみうちでよいと思います。援蒋ルートを切ってもまた何か仕掛けてくるような気がしてなりません。だから、確実に共産主義を消してしまえばよいのです。
あと、近衛より松岡のほうが行動力があると思います。

・松岡のカンペキなプランを裏切ったのはドイツだから、まずソ連をはさみうちにして共産主義を倒し、次にイギリスと組んでドイツをはさみうちにしてナチスを倒したい。

*数人ずつに発表させて授業を終えた。
授業案の予定の半分しかできませんでした。


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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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