改訂版1「黒船来航」



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★ペリーが黒船に乗って江戸湾に乗り込み、大砲で脅して幕府に開国を迫ります。このように軍艦の大砲で要求を実現していく外交を砲艦外交と言います。江戸の長い平和が破られ、日本は存亡の危機を迎えます。幕末の武士たちとともに「悔しさ」を感じたい。

1 江戸湾に現れた黒船
■黒船来航の絵を黒板に貼り、「一八五三年七月八日午前四時」と板書する。
『午前4時頃、伊豆半島の漁師が見つけて番所に届けた。その後目撃情報が続き、幕府は江戸湾に向かっていると判断した』

これを見た当時の日本人は、大変驚いたそうです。
いったい、この船のどんなところに驚いたのでしょうか?

*発表させる。
 ・船の大きさ(和船の20倍)・黒い鉄の船・大砲 ・煙を上げて蒸気の力で進む

『黒船4隻は、夕方5時頃江戸湾の入り口にやってきて、浦賀沖に碇を降ろしました』
■地図で停泊した浦賀を示す。                          
■ペリーの絵を貼る。「ペリー、アメリカ海軍東インド艦隊司令長官」を板書。
■アメリカはイギリスの植民地から独立した建国70年の若い国。原住民を殺戮しながら大陸を大西洋岸まで征服して、ついに太平洋に乗り出してきた。

2 砲艦外交                                       
【説明】
『長崎に行けと言うために黒船をたずねた幕府の役人に、ペリー側は、大統領から将軍にあてた手紙(国書)を、きちんとした幕府の代表者に渡したいと言った。幕府の役人は「国書は受け取れない。わが国の法は、異国とのつきあいはオランダとだけ、長崎で行うとしている」と断ったが、ペリー側は聞き入れません。押し問答をしていると、ペリーの副官は役人に言うことをきかせようとして、手紙付きのあるものを渡し「これを将軍に渡せ」と言いました。なんだと思いますか?』
*数人に発表させる。
■二本の白旗を見せる。

ペリー側は、なぜ白い旗を将軍に渡せと言ったのでしょうか?

*発表させる。
■資料「白旗を渡す理由」を読む。
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白旗を渡す理由
 ここ何年も、ヨーロッパの国々は日本の幕府に
「貿易をしましょう」
と言い続けてきたが、日本は
「私たちの国にはオランダとだけつき合うというきまりがある」と言って、これを受け入れようとしなかった。
 しかし、それは天の考えにそむくことであり、大きいなる罪なのである。
 だから、もし日本が、わたしたちアメリカと「貿易しない」というなら、われわれは、あなたがた日本のまちがいを、何がなんでも正してやらなければならない。
 力づくでもそうするつもりなのでこの場合は戦争になるだろう。日本は、自分たちがまちがっていないというのなら、われわれと戦いたまえ。
 戦争になれば、私たちアメリカは必ず勝つ。
 日本が負けるのはまちがいないので、きっとそのときは
「降伏(こうふく)するので話し合いをさせて下さい」
とわれわれに言ってきたくなるにちがいない。
 そのときのために、この二本の白旗を渡しておくのである。
 降伏したくなったらこの白旗を、われわれの見えるところに立てるがいい
 白旗は、降伏(こうふく)するという印なのだ。
 白旗があがれば、われわれアメリカは、ただちに大砲による攻撃をやめてやろう。
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・わが国の伝統の中では、白旗は源氏の旗であり降伏の意味はありません。このとき西洋が支配する国際社会では、白旗はこうふくのしるしであることを初めて知りました。
【説明】
 その後、七月十一日、艦隊は「うち沈め線」を突破して、江戸湾の奥に進んだ。そして、空砲を十数発発射した。砲声の雷鳴のようなのとどろきが、江戸の町をゆるがし、それは江戸城で会義を開いていた幕府の老中たちの耳にもとどいた。ついにいくさが始まると、江戸中がおおさわぎになった。家財道具を荷車に積んで、江戸を逃げ出す者も出た。

3 阿部正弘の決断
■老中阿部正弘の絵。「阿部正弘、老中首座、33歳、」を板書

阿部正広は、江戸城で対策会議を開いていました。みなさんはこの会議に出席していた誇り高い武士の一人です。阿部さんに意見を求められて、どう答えますか? どちらかを選び、理由も書きなさい。』
 A 法を守り、ペリーに会うべきではない(国書は受け取らない)。
 B 法を破り、ペリーに会うべきだ(国書を受け取る)。

*AとBの人数分布をとり、数名ずつ理由を発表させる。

■久里浜の会見の図を貼る。
『阿部正弘は、7月14日浦賀の近くの久里浜で、幕府は大統領の国書を受け取りました』

■大統領の国書を読む。
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アメリカ大統領から将軍にあてた国書

 私がペリーに命令して日本の将軍に伝えたかったのは、アメリカの目的は日本とアメリカがお互いに利益を得ることだということである。

 私たちアメリカではカリフォルニアから中国に行く船が多く、とくに日本の近くで捕鯨(クジラを取る仕事)をする船がたくさんある。この船が台風のために日本の岸に漂着してしまうことが起こる。もし、これからそんなことがあったときはいろいろと手助けしてほしい。

 また、あなたがた日本は、石炭や食料が豊富だ。じつは私たちアメリカの船は太平洋を渡るときたいへん多くの石炭を使う。アメリカから積み込む量だけでは足りない。ぜひ、アメリカの船を日本にとめることを許可してほしい。そして、石炭・食料・飲み水を売ってほしい。そして、アメリカの船が泊まっていい港を決めてもらいたい。

 私がペリーに命令し、強力な艦隊をあなたがた日本にさしむけた理由は、このように

①日本とアメリカの友好                     
②お互いの貿易など商売に関すること
③石炭と食料の補給
④漂着してしまったアメリカ人を助けること

などについてである。
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■【板書】日本は開国して、アメリカとも貿易しろ。
『阿部正弘は、国書を受け取りましたが、幕府のなかでも意見が分かれていて、すぐには結論を出せません。そこでペリーに、1年後に返事をするからもう一度出直してほしいと頼みました。七月十七日、「来春、返事を開きにもう一度やってくる」と言い残して、ペリーの艦隊は江戸湾を去っていきました』


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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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