「幕末から明治の日本」をこう学んだ



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■日本を建て直すカギはいくつかあると思いますが、その重要な一つは歴史教育の改革だと考えてささやかな努力を重ねてきました。全国の小中学校で、こうした歴史教育を20年くらい続ければ、未来に光明を見いだせるかもしれない。そう考えて、微力ながら発信し続けています。

「幕末から明治の日本」をこう学んだ

*今回は一人の生徒のノートを追いかけてみましょう。中学2年生の女子です。生徒のノートには、私が黒板に書いたこと、私が話したことのメモ、発問に対する意見や理由、そして最後に授業についての短い感想などが書いてあります。ここでは幕末から明治まで、22時間分のの授業名と、彼女の意見や感想文だけを抜き書きしていきます。

1 せまり来る西洋と徳川幕府
・異国船が次々にやってきて、アヘン戦争も起きました。これからどうなるのかなと思いました。

2 江戸時代ヨーロッパでは
・どうして西洋列強がアジアまで来るのかが少しわかりました。油断ができません。それはそうと、私は今回の試験でかなり成績がアップしました。1年生の頃は歴史は苦手と思っていたので、全然だめでした。ある日、本を読んでいたら、主人公が歴史が得意な子で、私はその子に憧れて、歴史を勉強したい!と思うようになり、歴史の本も読むようになりました。すると成績が上がりました。大事なのは、歴史を自ら学ぼうとする姿勢でした。歴史が好きになりました☆

3 ペリー来航と開国
・30歳ほどの若さでここまでできる、がんばれる人はすごいと思いました。今この時代でも、のような人材が増えてくれば、日本はもっと発展できると思いました。阿部正弘は尊敬できる人物です。

4 不平等条約とその後
・私は攘夷派です。なぜかといえば、今までずっと続けてきた伝栂崩れてしまうのがいやだから。また、朝廷の許しを得ずに勝手に決めるのはやはりよくないと思います。
・日本のプライドもあるし、外国人に日本のことを勝手に決められるのは嫌だと思いました。私が当時の侍でしたら、きっと攘夷派を選びます。

5 尊皇攘夷運動1「吉田松陰と松下村塾」
・やはり日本の歴史を動かすような偉人は、普通の人とはどこか違っていると思いました。日本全体を考えることが大事だと思いました。

6 尊皇攘夷運動2「高杉晋作と国作りの大方針」
・やはりみんなの先頭に立つ人は、幕府とか長州藩のことではなく、日本全体のことを考えているなと思いました。この人のおかげで、今私は平和な生活を送れることを自覚し、深く感謝し、しっかり勉強します。高杉晋作スゴイ!!!

7 生麦事件と薩英戦争
「薩摩藩はどうすべきか?」・私は、2万5千ポンドを払って、犯人は渡さないことにします。イギリス人が死んでしまったのだからお金は払った方がいいけど、きった武士は殿様を守るためだから悪くないと思う。
・幕府の28万両はかなりの大金だし、確かに渡すのはちゅうちょするけれど、のろのろしていたらイギリスに何をされたかわからなかった。小笠原さんのとっさの行動に驚きました。

8 坂本龍馬と江戸幕府の滅亡
・偏差値はそれほど高くなかったみたいですが、坂本龍馬を見て、人は成績やペーパーテストで決めつけてはいけないなと思いました。

9 戊辰戦争と明治維新
・西洋のねらいを見抜いた西郷さんと勝さんはすごいと思いました。東京の地名の意味やいつごろ江戸が東京になったかなんて考えたこともありませんでした。天皇中心の国ですね!この授業でまた私は一つ学ぶことができてよかったです。白虎隊のお話はしょうげき的でした。

10 中央集権国家への道
・「廃藩置県」私は今すぐ実行すべきを選びます。日本は日本一つでじゅうぶんです。それ以上たくさんの小国があっては団結できないし、他国から攻撃を受けたとき、いくら藩の武士たちが強くても、日本がバラバラでは勝てるわけがありません。日本が滅びてしまう前に、早く廃藩置県をすべきです。
・廃藩置県て、ただ藩を廃止して県を置いただけのことだとおもっていたけど、深い意味があったことを学びました。こんなリストラを受け入れた潔い武士には、ただただすごーいという一言です。

11 三大義務の改革
・学校ができ、強い軍隊ができ、税の仕組みができました。現在は10%ですが、もし当時10%だったら相当大変だったろうなと思いました。税のおかげで富国強兵もできます。税はイヤだなと思ってただけでしたが、今日はっきり考えが変わりました。

12 国境の画定
・やっと国境が決まり、勝手にとられてるということがなくなり安心です。戦争もせず、交渉だけで千島列島をぜんぶ取った榎本武揚はすばらしいと思います。この人こそ今の日本に必要な存在ではないでしょうか。

13 岩倉使節団と征韓論
・西洋文明を見て40年で追いつく!と宣言し、それを実行し、成功させることはとても難しいことです。私たちの先祖はそれを成功させたんですね。まさに有言実行だと思いました。すばらしいです。

14 西洋人が見た幕末・明治の日本人
・これを読んで、日本人として誇りを持ってもいいかなと思いました。現代の日本人にはシャイな人が増えて、ろくに挨拶できない人もいるけど、誰かのために無償でがんばる人、自分の仕事に責任を持つ人は今も健在です。昔のご先祖様がこんなにすばらしかったのだから、心がけしだいであいさつのたえぬすばらしい国になれるはずです。どんどん日本が良い国になってくれたらうれしいです。

15 不平等条約改正の歩み
・不平等条約のせいで昔こんなことが起きていたなんて、ノルマントン号事件だけじゃなかったことを初めて知りました。とても悔しく思います。しかし、1894年、様々な人たちの努力により、日本は列強と対等な国になることができました。ほっとしました。努力が認められたのだと思いました。

16 自由民権運動
・「憲法と議会どうするか?」私は、政府派の「時間をかけてやろう」に賛成です。自由民権と政府は目標が同じ文明国日本なんだから、時間をかけてしっかり進めるべき。何事も焦ると失敗します。いまやることはまず富国強兵です。たくさんお国を参考にして慎重決めよう!
・西郷・大久保・木戸がいあんくなり、伊藤・板垣・大隈が出てきました。素敵な国をつくってくれるとうれしいです。憲法を学ぶために自ら留学する伊藤博文を見て、リーダーシップのある日本代表にふさわしい人であると思いました。

17  大日本帝国憲法と帝国議会
・待ちに待った憲法がようやくできあがりました。私は塾でも小学校でも、大日本帝国憲法は天皇独裁で悪いものだと習ってきましたので、とてもしょうげき的でした。いちばんよかったのは「憲法とは日本の長い歴史と伝統を受け継がなければならないのだ。西洋のものを写した憲法では、日本の憲法にはならない」というところです。実際の憲法は、世界の国々も認めるすばらしい憲法だったとわかりました。

18 日清戦争
・どんなに人を殺すのがよくないか小さいときから聞かされていた私にとって日清戦争は考えられませんでした。でも、戦争の本当のその当時のことや日本の考えを聞いて、その当時の人々はどのような気持ちだったのでしょうか。そう考えるようになりました。もっと当時の人たちの心によりそって物事を考えることが大事だと思いました。

19 日英同盟 
・今日、臥薪嘗胆という四字熟語を習いました。私は知っていたので、ロシアに勝手なことをされていた当時の人々がどんなに悔しかったかがよくわかりました。柴五郎さんの活躍は誇らしい限りです。

20 日露戦争
・ロシアというと世界一大きな国。そんな国に日本が勝ってしまうなんて信じられない驚きです。やはり日本はすごいなと思ったし、戦いを勝利に導いてくれた小村さん、伊藤さん、東郷さん、乃木たちもすばらしいと思いました。今の日本の政治家たちは国会の様子がテレビで放送されているにも関わらず、堂々と居眠りしています。まるであたりまえのように。今の政治家の方たちには大和魂が足りないと思います。日本の将来を担うという大切かつすばらしい仕事に誇りを持ち、日本をすばらしい国にしたいという気持ちが大切だと思います。

21 韓国併合
・なぜ一番ひどいことをしている李朝に文句を言わず、優しくしてあげた日本に猛反発するのでしょうか。日本に甘えすぎではと思いました。恩を仇で返すとはこのことだなあと思いました。

22 世界列強の一つになった日本
・私がほかの本で読んだときは、清→中華民国というふうに書いてあったので、実際は中国は分裂してばらばらになったと知ってとても驚きました。清の一部が中華民国となり、残りは別々です。


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この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

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