*この授業では坂本龍馬の活躍をやります。一つは薩長同盟、もう一つは大政奉還です。王政復古で新政府が誕生し、鳥羽伏見の戦いが始まったところまでです。龍馬クイズや、勝海舟の話や、西郷と木戸を叱った話などにはいくぶんか「講談」も入っていますが、生徒が喜ぶところですので、偉大な人物の伝説として伝えていきたいと思います。
1 坂本龍馬
『坂本龍馬は、1835年、大塩平八郎の乱が起きた頃、土佐藩の郷士の家に生まれました。土佐はいまの~? そうです高知県。郷士というのは一番身分低い武士、普段は農民や町民だがいざというときは殿様のために働く。藩士からはとても差別されていました』
*丸バツクイズをやります。丸は両腕で大きな丸をつくる。バツはお顔の前に小さくバツです。
①この人物は、剣術が強かった。答えは丸。江戸の千葉道場で免許皆伝。
②この人物は、少年時代泣き虫だった。答えは丸。いじめられっ子でお姉さん乙女に鍛えられた。
③この人物は、18歳ぐらいまで寝小便をしていた。答えは丸。これも乙女の話。
④この人物は、日本で最初の貿易会社を作った人だ。答えは丸。海援隊。
⑤この人物は、ペリーの黒船を自分の目で見た。当時江戸にいたのでたぶん丸。好奇心が強いから。
*ペリーが来てからおよそ十年後の文久2年3月。龍馬は28歳。土佐藩を脱藩した。尊王攘夷運動が盛り上がっているときで、天下のために何かしたいと考えた。脱藩は重罪で家族も連座する罪だが、土佐で郷士のままでは何もできない終わってしまう。
2 運命の出会い
『江戸に出て、龍馬は幕府のリーダーに会いに行った。斬りに行ったらしい。この人物です』
『勝は幕府の軍艦奉行。これも貧乏旗本の息子だが、阿部正弘に取り立てられた。危機だから世に出られた人物。このときこんな話を聞いただろうと思われる。私の創作が入ってますが・・・』
*資料「勝海舟の話」を読む。
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勝海舟は坂本龍馬にこう語った
坂本さん、刀はもうちょっと、引きつけておきな。
そうじゃないと、おれは斬れないよ。
まあ、おれを斬るのはいつでもできるだろうから、今日は、アメリカの話でも聞いてお帰りよ。
おれは二年前、咸臨丸に乗ってアメリカに行って来た。
何がおどろいたって、あそこじゃ、国の政治は、選挙で選ばれた人物がやるという話だった。将軍家も、殿様(とのさま)もないんだ。だから、上に立つ者はみんな、ひとかどの人物だよ。バカでも身分や家柄がよいというだけで、リーダーになれるような国とは、いきおいがちがうというわけさ。
おれたちはいま、そんな国を相手にしているんだ。今のように、国内で戦いあっているようじゃ、日本はあぶないよ。どっちが勝ったって、日本全体としてみりゃ、弱っていくばかりなのさ。そんなことをしていたら、西洋の植民地にされちまうかも知れないぜ。
それでもいいのかい、坂本さん。
西洋にやられないためには、軍艦だって大砲だっているんだよ。そいつを手に入れるには、西洋とつきあうしかないんだ。大砲も軍艦もない、サムライは藩に分かれていて、国としてまとまった海軍も陸軍もない。こんなことで、どうやって国を守れるっていうんだい。
国が一つにまとまって、いざとなれば戦うという気力を見せれば、西洋にだって、そうかんたんには、やられやしないよ。
幕府だ、長州だ、薩摩だと、日本人どうしで、けんかをしている場合ではないということさ。
どうだい、人殺しなんかやめにして、おれといっしょに海軍をつくる仕事をやらないか。よかったら明日からでも、おれの海軍繰練所(かいぐんそうれんじょ)においで。
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*龍馬は、勝の話を聞いて、体を電流が流れたように感動してしまった。
*姉の乙女にこんな手紙を書いている。
「日本第一の先生の弟子になった。・・・・」
*勝から学んだことをまとめる。
1 国のリーダーは、実力のある人物を選挙で選ぶ。
2 国内で争い戦っていては国をとられる。
3 中央集権国家を作って、軍備を増強する。
3 薩長同盟
*『龍馬は勝先生に学んで、海軍の勉強をしたり、貿易会社(亀山社中 → 海援隊)をつくったりしながら、日本を変えるために働きました』
*以下の説明をする。
①長州は会津と薩摩に京都から追い出され、朝敵にされ、第1次長州征伐では幕府と薩摩が組んで長州をたたいた。薩摩は長州を嫌い、長州は薩摩を憎んだ。草履の裏に薩摩と書いて踏んづけて歩いていた。
②しかし、勝海舟も坂本龍馬は、日本はもう幕府ではもたないと考えていた。
③薩摩は薩英戦争で方針を変えて「幕府はもうダメだから、長州と手を結びたい」と考え始めているという情報が入ってきた。
④龍馬は「長州と薩摩のけんかをやめさせる」ことを考えた。龍馬は自由の身だから、あちこち飛び回れる。西郷さんと会ったり、桂小五郎さんと会ったりしながら、中岡慎太郎と二人で両方が手を結ぶ話を進めた。
⑤しかし、2人を会わせてもなかなか同盟の話が出ない。お互いに憎み合ってきた過去があるから、自分から同盟の話を出すのはメンツにかかわるというわけだ。
『龍馬は、西郷隆盛と桂小五郎(木戸孝允)にこう言って叱ったそうです。
( )のためでも、( )のためでもない。( )のためだ!
( )にはどんな言葉が入るでしょうか?』
:発表させる。
「薩摩のためでも、長州のためでもない。天下(日本)のためだ」
慶応2年1月(1866年3月) 薩長同盟成立。
*6月幕府は2回目の長州せいばつをやったが、薩摩はそれに参加せず幕府側が負けてしまった。薩摩が買った銃や弾薬を龍馬の海援隊が長州に運んだ。海援隊は下関で幕府海軍と戦っている。
4 船中八策
*こうして日本の政局は(幕府)VS(薩摩+長州)となり、倒幕戦争が必死という形成になった。
*坂本龍馬は「船中八策」という国づくりの大方針を書いた。その第1条が有名な「戦争なしで江戸幕府を終わらせる」驚くべきアイディアでした。
*アジアの植民地化では、国内の分裂が列強に乗じられたケースが多々あった(インドやベトナムなど)ことを教える。
*船中八策を読む。
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船中八策
1.幕府は政権を朝廷に奉還し、朝廷が政治を進める。(大政奉還)
2.上院と下院の議会を設け、議員を選んで、国のためになること(公論)を話し合いで決める。(議会開設)
3.能力の無い役人は辞めさせ、身分に関わらず有能な人材を登用して政治を進める。(官制改革)
4.外国との交際は国のためになるように進め、新たに対等な条約を定める。(条約改正)
5.古代からの律令は止めて、新しく憲法を定める。(憲法制定)
6.海軍をつくる。(海軍の創設)
7.国家の軍隊(陸軍)をつくり国を守る。(陸軍の創設)
8.貿易相手国に有利で日本にとって不利な貨幣制度を改める。(通貨政策)
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『第15代将軍、徳川慶喜は、龍馬が考えたこの案を実行しました。これを大政奉還といいます。これからは、朝廷を中心に新しい国づくりをしていきましょう、というのが坂本龍間の考えだったのです。こうして、260年続いた徳川幕府が終わりました。1867年10月のことです。』
慶応3年10月(1867年11月)大政奉還、江戸幕府が終わる。
*翌11月15日、京都近江屋で、坂本龍馬は中岡慎太郎と共に暗殺された(幕府見廻組)。
*船中八策は、新しい明治日本の国づくりの大方針になった。
*しかし、大政奉還では、徳川慶喜が新政府内で強い力を持ってしまうことに気づいた、薩摩藩(大久保利通と西郷隆盛)は、明治天皇の許しを得て、徳川家をつぶして新政府を作る策に出た。
慶応3年12月 王政復古の大号令、 徳川氏には辞官納地を命じた。
*あわせて、西郷大久保は江戸で破壊活動を行い、幕府を挑発したため、年が明けて、幕府対薩長の内戦が始まった。
慶応4年1月(1868年) 鳥羽伏見の戦い
*薩長軍は錦の御旗を掲げ官軍となった。
*朝敵になった将軍慶喜は恭順に傾き江戸に逃げ帰った。官軍は東海道と中山道を江戸に向かった。
*明治改元は4月。
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