ようやく「院政と武士の台頭」が終わったので、古代史のまとめとして「中国の皇帝と日本の天皇」を授業しました。自由社版「新しい歴史教科書」による。
1年生です。
ちょっと長いけれど、読んでいただければ幸いです。
はじめに、宋の皇帝太宗が日本人僧侶に言います。
「日本の天皇は君主の理想ですね。うらやましい限りだ。」
生徒に訊きます。
「皇帝は天皇のどんなところがうらやましいのでしょう。4月からこれまでの学習を生かして考え、ノートに書きなさい。時間は5分です」
久しぶりに学級全員に発言させました。
黒板の記録はこうなりました。
・天皇は一族で地位を受け継いでいくが、皇帝は力が弱まると滅ぼされてしまい、別の国になってしまう。
・天皇の地位は安定している。
・国民のためを思っている、優しい、思いやりがある。
・国民に信頼されている。尊敬されている。
・天皇は反逆されない。
・天皇は政治の実権を持たない。
・天皇中心の国で続いていく。
・天皇の地位を取り合って戦乱が起きない。
・戦いではなく話し合いで決める。
・異民族のおびやかされない。
・国が一つにまとまっている。
生徒のノートから2つ引用します。
「天皇は一族で受け継いでなっているけど、中国の皇帝はその皇帝の力が弱まると争って新しい国をつくっていくので、日本の天皇はその地位が安定しているからだと思う」
「支那は戦乱で王朝をとり、それもまた滅ぼされていくが、日本の天皇家は滅ぼされず続いていくから。当時北方の騎馬民族の攻撃におびやかされていたが、日本の天皇は外敵が来ない場所の君主だから。」
とてもよい内容でしたので思う存分褒めてやりました。授業の目標は以上で尽きているのですが、教科書のコラムを読んで次のように教えました。
〈中国の皇帝〉
・武力によって地位につき、武力によって滅ぼされる。
・歴代王朝はすべて別の国で、皇帝の姓も変わる。
・統一王朝ができるまでは長く戦乱の世が続く。
「易姓革命」というルール・・・天命が改まり、皇帝の姓が変わる。
漢(劉氏)-隋(楊氏)-唐(李氏)-宋(趙氏)-元(モンゴル民族)
〈日本の天皇〉
・天皇は神々の子孫として尊敬され、滅ぼされることがない。
・「日本」という国がずっと続く。
・国民に姓を与え、皇室は姓を持たない
・天皇は国のまとまりの中心であり権力は持たない。
・政治権力や政治制度は時代に合わせて変えていく。
最後に、授業の感想を書かせました。
一部(30人中の9人)を以下に載せます。
【感想】
・今回の授業で、天皇がどんなことをしているのかを知り、天皇はぜったい滅ぼされないとわかった。
・中国のように武力によって地位が変わるのが普通のなのに、日本だけが特別なやり方をした。ほこらしいことだと思います。これからもこのようなことを忘れずに、今を大切にすべきだと思いました。
・皇帝は倒されてすぐ国が変わってしまうが、日本はずっと変わらず、反逆もされず、すごいなと思いました。日本はそこが世界に自慢できるところだと思いました。
・今回は天皇と皇帝の違いと天皇や日本の良さについて、改めて考えを深めました。中国の易姓革命が世界のレギュラーなのが、日本だけ違う方式を採ったのが今につながっているのだと思いました。
・今日は日本がどれだけすごいかということがわかりました。私は日本人として誇りを持って生きていこうと思います。
・あらためて日本はすごいなと思いました。日本人として誇りに思います。天皇はいばっているだけの人かとずっと思っていましたが、このような努力をしていたのを知り、天皇もすごいと思いました。
・よく考えてみれば日本はすごく恵まれた国なんだなと思いました。一度も滅ぼされたことはないし、治安は安定しているし、私はまだ戦争を経験したことはありません。経験したくないです。
・今日は支那の皇帝と日本の天皇の違いを教えてもらいました。先生、中国ではなくて「支那」です!
・今日は中国の皇帝が日本の天皇をうらやましいと言ったと知って驚きました。なんでうらやましいかを考えてみると、時代背景から思っていたんだと知って、なんで自分で提案しないんだろうと不思議に思いました。
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