昭和の戦争ノート15



日本史ランキング
クリックお願いします!別ウィンドウが開きます

情報官・鈴木庫三少佐は、
国家総力戦体勢の広報官として、
陸軍パンフレットや雑誌などの言論統制によって、
国民大衆に最も影響力のあった軍人でした。

その鈴木が「新体制はアカだ」という風評に対してこう書いています。


過去にアカであった人も真に転向しているなら入ってくる。
それをつかまえてアカだというようなデマを飛ばすやつがあったら、
それは容赦なく引っ括ってやっつけようと思っている。


昭和初期の転向とは、
「王殺し」をやめて「天皇制を肯定する」というだけのことでした。

これでもわかるように、
鈴木庫三の主要な敵は、
重臣や財閥の「自由主義・個人主義」であり、
米英仏の持てる側の帝国主義でした。

こんな日記もあります。


要するに、日ソ独伊の4国が結ぶことが一番賢明であり、
4国とも、英米仏と相容れない関係にあり、
世界維新を企図しているのだからこれが当然であるが、
なかなかこの案にはいくまい。

それは日本の個人主義、自由主義の人々、
およびこれに動かされている人々が、
ソ連と結ぶことを恐れるからだ。


大正から昭和に至る政策対立の基本軸は、

「資本主義・自由主義・個人主義」 対 「国家社会主義・平等主義・全体主義」

でした。

そして、日中戦争の早期解決を望んだのは前者のグループであり、
戦争の継続こそ「新体制」を完成すると考えていたのが、後者のグループでした。

もちろん東南アジアの植民地を解放して、
大アジア主義を実現しようとした「アジア新秩序・大東亜共栄圏」構想も、
後者のグループから出てきます。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

昭和24年、埼玉県生まれ。昭和59年、大宮市の小学校教員に採用される。大宮教育サークルを設立し、『授業づくりネットワーク』創刊に参画。冷戦崩壊後、義務教育の教育内容に強い疑問を抱き、平成7年自由主義史観研究会(藤岡信勝代表)の創立に参画。以後、20余年間小中学校の教員として、「日本が好きになる歴史授業」を実践研究してきた。
現在は授業づくり JAPAN さいたま代表として、ブログや SNS で運動を進め、各地で、またオンラインで「日本が好きになる!歴史授業講座」を開催している。
著書に『新装版 学校で学びたい歴史』(青林堂)『授業づくりJAPANの日本が好きになる!歴史全授業』(私家版) 他、共著に「教科書が教えない歴史」(産経新聞社) 他がある。

【ブログ】
齋藤武夫の日本が好きになる!歴史全授業
https://www.saitotakeo.com/

コメント

コメントする

目次